「弱腰アメリカ」笑うサウジ攻撃の本当の黒幕 ドローン10機で19カ所攻撃はほぼ不可能
フーシ派はイエメン紛争に介入して空爆を繰り返すサウジに反発し、5月にサウジの首都リヤド西方の石油パイプライン2カ所をドローンで攻撃して操業停止に追い込んだり、弾道ミサイルをリヤドに撃ち込んだりしてきた。さらなる攻撃を予告しており、今回の攻撃も一連の軍事行動に沿ったものとも言える。
7月には、サウジ主導の連合軍の中軸を形成してきたアラブ首長国連邦(UAE)がイエメン駐留部隊の縮小を表明。フーシ派は、サウジへの攻撃を激化させ、軍事介入の停止を誘おうとしている。
フーシ派を積極的に支援するイラン
戦略国際問題研究所(CSIS)アンソニー・コーズマン上級研究員は、フーシ派は航続距離が最大で1500キロ、全地球測位システム(GPS)を使った精度の高い飛行が可能なドローンを獲得していることが知られていると指摘。クライスで約800キロ、アブカイクで1000キロ超の飛行は可能であり、フーシ派による犯行の可能性は排除されないとの見方を示す。
ただ、「ほぼ同時に遠方の複数の標的を攻撃するという複雑な作戦を遂行する能力があるかは疑わしい。イランの支援なしにフーシ派が実行できたかどうかは極めて疑問だ」と分析する。
さらに、アブカイクの石油施設攻撃では、石油生産に重要な工程を担う施設が標的となっており、石油産業にも十分な知識を持った勢力が犯行に関与しているのは間違いない。イエメンも産油国だが、やはり石油関連の人材豊富なイランの関与を疑う材料になっている。極めて燃焼性の高い施設がピンポイントで攻撃され、原油相場への打撃が大きくなった。
イエメン紛争に介入するサウジ主導の連合軍は16日、石油施設攻撃に使用されたドローンがイラン製だったと発表。フーシ派がイランから武器を供与されたり、技術移転を受けてきたことは既成事実だ。焦点は、ドローンがどこから飛来してきたかだ。
イエメンから出撃したとのフーシ派の主張に疑問が投げ掛けられる中、サウジの石油施設の打撃が北西方面であることを根拠に、アメリカ側には、イラクやイランが出撃地点だったとの主張もある。イランの明確な関与を立証できれば、非対称戦争という相手の土俵ではなく、同盟国による攻撃を理由に、アメリカは通常戦力による報復も可能となる。
だが、ドローンが旋回して出撃地点をあざむくのは簡単なことだろう。アメリカのポンペオ国務長官とイラクのアブドルマハディ首相が15日に電話会談し、「イラクから実行されてはいないことが、アメリカの提供した情報で確認された」とイラク首相府が発表した。一方、クウェート上空で無人機の目撃情報もある。
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