NYの「意識高い中華料理店」が大炎上したワケ 意識せず使った英単語が爆弾になった

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アメリカの一部の健康意識の高い人たちの間では、食材はオーガニックだけを選び、キャノーラ油の代わりにオリーブ油を使用することなどを「クリーン・イーティング(clean eating)」と呼ぶトレンドがある。

ここで言う「クリーン」とは、添加物を体内に取り込まないという意味での「クリーン(清潔、汚れのない)」なのだが、この斬新な中華料理店のオーナーはその説明をせずに、伝統的な中華料理に比べて、自分の店や料理は「クリーンだ」とブログに書いた。

そして、「自分は中華料理が大好きだが、食べるたびに翌日になるとむくんでしまう」といい、それを防ぐために「クリーンでヘルシーな中華料理を提供する店をオープンすることにした」と書き添えた。しかし、これではまるで「既存の中華料理店はどこも汚くて不健康だ」と言っているようにも読み取れてしまう。

店名にまで批判が

案の定、この告知を見て、大勢の中国系アメリカ人や、従来の中華料理好きの人が猛反発。ニューヨーク・タイムズ紙が記事で大きく取り上げるほどの騒ぎになった。アメリカで中華料理店を営む人たちは、「あなたがいったい、どこの中華料理屋で料理を食べているのか知らないが、中華を日常的に食べている私も家族も店の顧客も、誰一人、体に不調を来していない。失礼だ」と激怒した。

日本の「食べログ」のような位置づけのレストラン口コミサイト「Yelp」は、同店へコメントしようとするアクセスが爆発したため、この店のリスティングを一時的に止めたほどだった。

店名も人々の怒りを助長した。「Lee」は中国人の苗字に多く、「白人の店なのに、中国人の苗字を店名に使うなんてずるい」「伝統的な中華料理のことを批判しておきながら、中国人がオーナーだと思われるような店名にするとは矛盾している」という批判の声が寄せられた。

それを受けてハスペルさんは、自分の白人の夫のファーストネームがLeeなのだと釈明したが、後の祭り。この店は(白人による中国の)「文化の盗用」「文化的傲慢」だというレッテルが張られてしまった。

ハスペルさんはもちろん、伝統的な中華料理をバカにしたかったわけでもなければ、中国系アメリカ人や既存の中華料理店の関係者の心情を傷つけるつもりもまったくなかっただろう。大金をつぎ込んでマンハッタンに新しいレストランを開店させる直前に、そんな騒ぎを起こしても何のメリットもないし、その店の新規顧客の対象者には「そもそも中華料理が好きなアメリカ人たち」も含まれているはずだ。

当事者のハスペルさんも、「こんなに大勢の人々を怒らせてしまうことになるとは、想像もしていなかった。もっと深く考えて言葉を選べばよかった」と新聞のインタビューでで謝罪。「“クリーン”とは、極めてヘルシーという意味で使った言葉であって、伝統的なものとは異なる新しい中華料理を提供すると言いたかったのだが、文化的な配慮に欠けた発言だった。伝統的な中華料理は不健康だというつもりもなかった」と弁明した。

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