「中年の引きこもり」ドイツではありえない理由 「親元を離れないこと」は社会的に格好悪い

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具体的にいうと、ドイツでは医者の診断書が無いまま長期にわたり学校を休むと、学校から親に連絡がいき、その際の親の説明が不適切だと判断されると、警察に通報されてしまい、警察が自宅に様子を見に来ることがあります。

ドイツでいう「就学義務」は「学校に行く」という意味ですので、アメリカのホームスクーリングのような「学校以外の場所で学ぶこと」は基本的には認められていません。そのため不登校問題がメディアなどで割とオープンに語られる日本とは違い、ドイツでの「不登校」は場合によっては法に触れる可能性もあるため、ドイツではオープンに取り上げられにくいという現状があります。

これは「引きこもり」の問題に関してもいえることですが、ドイツ社会は「社会から自ら距離を置く人」に対して容赦なく、日本よりも厳しいです。

「わが子」と「世間体」どちらが大事か

日本で「長期に渡り引きこもり生活を続けている中年」の話になると、必ず「これほど長引く前に、なぜ周囲に相談をしなかったのか」と疑問の声があがります。確かに川崎殺傷事件でも10年以上引きこもりを続ける甥について叔父叔母夫婦は初期の段階で行政に相談をしておらず、相談をしたのは今年に入ってからでした。

初期の段階で自治体の相談窓口など公的機関に相談しない理由はさまざまですが、セーフティーネットに頼ることが「世間に迷惑をかけること」だと考える親もいるようです。「家庭内の問題が外に知れると、兄弟の結婚に響くのではないか」とか「家族の仕事に悪影響があるのではないか」などと心配し、結果として「問題を抱えている娘や息子の状態がよくなること」よりも「世間体」を優先してしまっている場合もあります。

確かに日本には「個人」よりも「家」を大事にする習慣があり、個人が問題を起こすと、世間は「あの人は……」にとどまらず「あの家は……」と「家全体」を白い目で見る傾向があります。

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