スズキ「アルト」がパキスタンでバカ売れの理由 日本で人気の「ガラ軽」は世界で通用するのか
国内での軽優遇の賛否は置くとして、グローバルに展開する日本の自動車メーカーにとって海外で売りにくい軽に開発リソースをどこまでつぎ込むのかは悩ましい。だからこそ、パキスタンでのアルトのヒットはスズキのみならず、軽を生産する日本の自動車メーカーにとって大きな意味がある……のかもしれない。
軽の輸出先として圧倒的トップ
曖昧な表現になるのは、パキスタンが特殊な市場であるからだ。というのも、日本から輸出される中古車、その中でも軽の輸出先として圧倒的トップなのだ。
日本の中古車輸出統計で660㏄以下という区分が新設された2013年以降、2018年まで6年連続でパキスタンが輸出先の首位である。それも中古軽輸出全体の40%台から70%台をパキスタンが占めている。
実際にパキスタンの中古車販売サイトを確認すると、660㏄エンジンを搭載した軽が多くみられる。スズキ・ホンダ・ダイハツ工業などメーカーもさまざまだ。興味深いのは、中古軽の価格が年式にもよるが、パキスタンで生産された新車と比べても決して安いわけではないということ。
では、なぜパキスタンで安くもない中古の軽が受け入れられてきたのか。
まずパキスタンの新車市場は、スズキ、トヨタ自動車、ホンダの日系3社が100%近くを握る世界を見渡しても日本車が特別強いマーケットである。ジェトロの海外調査部アジア大洋州課の北見創リサーチ・マネージャーは「日本品質への信頼感がある」と指摘する。
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