日本人が知らない「トランプ大統領」の頭の中

大事なのはアメリカよりも「自分の損得」

外交に関しては、「自分のおかげで相手国が譲歩し、アメリカ国民はこれだけ得をした」と、自国民に対し非常に身勝手なストーリーで成果をアピールしている。大統領である自分の都合が最優先で、理念はいっさい感じられない。

すべてがディールという発想

トランプ大統領はイスラエル建国70周年に合わせて、2018年5月にイスラエルのアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転し、パレスチナの人々を激怒させた。豊富な資金力と集票力で、大統領選のときからトランプを応援してきたユダヤ系アメリカ人のカジノ王シェルドン・アデルソン氏たちのロビー活動の成果である。中東の和平よりも自分の支持者の意向が、トランプ大統領にとっては大事なのだ。まさにミー・ファーストにほかならない。

2018年10月、トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で、サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏が殺害された。

この事件でもトランプ大統領は、アメリカ中央情報局(CIA)が、サウジ政府の実質的な最高権力者であるムハンマド皇太子が殺害を指示したという見解を発表したのに、「皇太子がやったかそうでないか、誰も真相はわからない」と明言を避け、暗に皇太子を擁護する姿勢を示した。サウジはアメリカからたくさん武器を買ってくれるし、原油を十分産出して原油価格の維持に貢献してくれている。それに、トランプファミリー、とくに娘婿のジャレッド・クシュナー氏と個人的にも関係が深いということもあって、真相究明に消極的なのだ。

アメリカは自由と平等、そして民主主義の国であり、世界中にこれらの理念を広める役割を務めてきた。そして、他国の非民主的、非人道的な行動にも決して目をつぶることはなかったはずだ。それが、トランプ大統領は、そのような建国以来の理念よりも、自分の損得を堂々と優先するのだから開いた口がふさがらない。

メディアに対しても、誠実に応対しようという気持ちはまったくないようだ。基本的に言いたいことは自分のツイッターで一方的に発信し、気に入らない記事はすべてフェイクニュースとして扱い、記者の質問が気に入らないと、テレビカメラの前であろうがおかまいなしに罵倒する。

閣僚も気に入らないと次々にクビにするため、大統領に就任して1年9カ月で、すでに閣僚人事も2回転していて、ホワイトハウスの側近にはイエスマンしかいない状態だ。

彼の発想というのは、すべてがディールなのである。外交もディールだから勝たなければいけない。貿易赤字は負けだから許せない、とトランプ大統領は思っているのだろう。

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