中国鉄道メーカー、独企業買収で狙う欧州市場 老舗メーカーの機関車部門を取得し拠点に

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フォスローは現在も受注残を抱え、細々と製造が続けられているが、今回の売却により車両製造から完全撤退する。契約の中には、CRRC ZELCがフォスローの保有していたすべての保証、抵当も一括して引き継ぐことが明記されており、受注残分の製造や、メンテナンス契約を結んだ会社とのアフターサービスなどもCRRC ZELCが引き継ぐことになる。

フォスローは1883年にエデュアルト・フォスローによって創業された老舗で、レールを枕木に固定する締結装置に使用するスプリングワッシャーを、当時のプロイセン王立鉄道から受注したのが始まりだ。1888年には正式に会社として設立された。

クリップ式のレール締結装置(筆者撮影)

以来、レール締結装置を中核として事業を続けてきたが、1967年に転機が訪れる。ドイツ連邦鉄道(当時)のヘルマン・マイヤー教授が開発した、クリップ式レール締結装置の製造ライセンスを取得。従来の犬釘と呼ばれる鍵形の釘や、ボルトで枕木に留めるものと異なり、簡単に固定できるクリップ式レール締結装置は、今では世界中の鉄道で採用されており、同社はそのトップメーカーとなったのだ。

1990年代中頃より、同社は従来のインフラのみならず、鉄道産業全体への進出を図るため、さまざまな鉄道系メーカーを買収、車両製造や機関車リース事業などへも参入した。

不採算部門をリストラ

だが2013年、創業一家であるフォスロー家が所有する、同社株30%が突然売却され、ファミリーが持つ株式は10%以下となった。新経営陣に刷新された同社はリストラに着手、不採算部門であった車両製造などの部門を売却し、インフラだけに集中させることが決まった。

DE18型に設定されたハイブリッド仕様。従来のDE18型も簡単にハイブリッド仕様へ変更することが可能だ(筆者撮影)

フォスロー・ロコモティブは、2014年の段階で事業を停止させることが決定していたが、受注した契約の残りを消化しながら、メンテナンス契約をしている鉄道事業への対応などもあり、現在も稼働状態にある。

機関車製造に関しては、出力1800kW級のG18/DE18型入換用ディーゼル機関車が唯一の製品となっており、2018年のイノトランス(国際鉄道見本市)では、このハイブリッド仕様も展示されていた。

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