担当課長のメリット④「頼れるアニキになりやすい」こと
連載第4回目で担当課長は「傾聴のスキルを磨け」、「課長に代わって組織のメンバーの話を聞いてやれ」と書いたところ、知人である某企業の担当課長から「“いい人”になって課長の組織マネジメントを補完するのですね」というコメントをいただいた。
そうではない、昨年引退した阪神タイガースの金本知憲選手のように「頼れるアニキになろう」とは言ったが、「いい人になれ」とは一言も言っていない。
ビジネスパーソンとして「いい人」と言われるのは、仕事のパフォーマンスはイマイチで、周囲のメンバーから一目置かれる存在でもなく、「いい人」という以外に取り立てて特長のない存在感の薄い人のことだ。
最近はプロ野球の選手生命が伸びて40歳超が少なくない。選手兼コーチという契約も増えてきた。
球団からすると、後進に対する指導的役割を期待するものだが、選手という立場も有しているので、絶対的権力者である監督より身近なメンター(師匠)として選手の“精神的支柱”となっている。
組織長である課長は、「労務管理において経営者と一体的な立場にある者」なので、労使という関係性においては部下と利害がぶつかる可能性がある。
よほどの優れた人物でもなければ、精神的支柱には成りにくいし、仮にそういう人物がいたとしても、10年以内に実力で役員に出世するような人である。
「課長と同格扱い」「微妙に従業員側」という担当課長であれば、組織内で唯一“精神的支柱”になる要件を備えることが可能なのだ。この位置づけは大事にしたい。
ただし、だからと言って「今の課長より自分のほうが優秀だ。俺を課長にしろ!」という野心が見え隠れすると、課長には警戒され、周囲のメンバーからは失笑を買うことになるので、気をつけたい。
営業成績など目に見えるパフォーマンスが派手なのはいいが、人材育成や人間関係の調整は地味な役回りであり、担当課長に求められているミッションではない。あくまで課長が手の回らない部分をさりげなく手助けするスタンスがちょうどいい。
単年度の「評価」ではなく、複数年の地道な活動を積上げて周囲の「評判」を高めることに注力したい。
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