川邊:いや、孫さんが地獄を作っていますからね、片方で。ソフトバンクグループはそういうグループなんですよね。あともう一個は、無茶な目標があると変わりますね。とりあえず新体制になったときに、宮坂社長と僕が孫さんに会いに行って、「お前らに全部任せる」と。ただ「最初の目標だけは会長として設定させてもらう」と。「20XX年までに利益倍だ」と。
岡島:利益倍ですよ。だってこんなに利益出てるのに!
川邊:そうすると直前のトレンドが大体103%成長くらいで来ていたのを、大体112%成長ぐらいまで上げないと公約を達成できないので、発想が全く変わるんです。今のままじゃダメだと。ソフトバンク自体は目標が2050年までに時価総額400兆円ですから、ソフトバンク自体も自分たちを変えるために無謀な目標を掲げて自己変革しているので、今同心円になって、お互い無茶な目標を持っている。これも変わる一つの重要なドライバーだったかなという気がします。
岡島:やっぱり孫さんの目標設定の高さですよね。でもそれは、無理ではないって皆さんが思えたということですよね。
皆、インターネットが大好き
川邊:現実的に割ってみたら112%成長だと。昔はそうだったよねと。周りを見るとフェイスブックもアップルもグーグルも皆それくらい成長しているじゃん、なんで我々ができないの? 我々が悪いんじゃないの? と。そこからやっと他責的なところから自責のところに(意識が)変わってくる。
岡島:そこからものすごい王道の「The経営変革」というのをやっていますよね。理念を再定義して、目標を設定して、しかも「10倍挑戦して、5倍失敗して、2倍利益を得る」というすごく大きな目標を掲げながら、すごく王道で進んでいると思うのですが、皆さんはなぜついて来られているのでしょうか?
川邊:一つは他の会社さんもそうですが、皆インターネットが大好きですよね。インターネットが大好きで、インターネットでサービス作ったらお客さんから反応があるのがすごく好きで、場が変わってスマートデバイスになったときに、LINEや楽天とか色々強いのがいるけれども、もう一回ヤフーも、お客さんに「ヤフーって便利だよね」「いつもヤフーって使っています」というアレをもう一回やったら楽しい。しかも目標は無謀だし。これを同時にやったら楽しいじゃんと。「楽しむ」っていうのをテーマにしているんです。
岡島:その辺の「祭りづくり感」がすごく上手だなと思うんですけれど。
川邊:eコマースセッションでの、ショッピングカンパニーの小澤さんを見てもらったら分かると思うんですが、あの雰囲気で経営会議をやっているんですよ。加えて言うと、これは経営チームで、宮坂さんもノリのいい人ですよね。小澤さんや(チーフモバイルオフィサーの)村上臣とかがいて、あのノリでやっています。孫さんは経営会議には出てこないですけれども、ソフトバンクに行って孫さんと何か話するとき、孫さんもあの雰囲気なんですよ。