「アマゾン火災」がここまでヒドくなった理由

このままでは熱帯雨林の一部が草原化も?

ボルソナロ氏は軍人出身で、砲兵部隊からパラシュート部隊に移ってから大尉で退役した。軍人の給料が安すぎるとの理由から、少数の士官グループが兵舎や軍学校に爆薬物を仕掛けて爆破。軍事裁判にかけられ無罪と判決されたが、退役を余儀なくさせられた。

その後、1989年にリオデジャネイロの市会議員を皮切りに、1991年に連邦議員となり、2014年には下院議員としてリオデジャネイロで歴代最高の得票数で当選。下院議員としては目立つ存在ではなく、議員立法も大半が軍人や軍部に関係したものだったという。

当時から目立っていたのは同氏の人種差別、ホモファビア、男性優越主義、軍事政権礼賛といった過激な発言内容であった。一匹オオカミ的な存在で、所属する政党も8回変えている(ブラジル下院には30の政党がある)。発言が過激すぎるため、メディアに取り上げられることも少なかった。

火災はNGOによる腹いせが原因と示唆

そんな同氏が大衆から注目されるようになったのはブラジル経済の成長が低迷する一方で、犯罪が増え、ルラ元大統領を始め多くの政治家が汚職に染まっていったことが背景にある。汚職に手を染めていない政治家を求める向きが強まると同時に、犯罪多発を受けて軍事政権の再来を望む声が増える中、ボルソナロ氏の注目が高まっていったわけだ。同氏が大統領選への出馬を考えるようになったのも、2014年頃だという。

アマゾンの火災をめぐっては、NGOがボルソナロ大統領に原因があると批判してきたが、これに対して大統領は、「NGOがブラジル政府を攻撃するために犯罪活動を行っている」と発言。「政府がNGOに対する公的資金を中止した」ため、この腹いせに森林放火をしているとほのめかした。ボルソナロ大統領はつい最近も、INPEが提出している情報の内容が過激だとして所長を解任するなど、自身の考えと異なる団体や人物は排除してきている。

大統領選でボルソナロ大統領に票を入れた有権者の9割がアマゾン地帯を保護する法的手段を採れるようにすることを議会に懇願している。が、前述のサンパウロ大のノブレ氏がガーディアン紙に語ったところによると、「ブラジルの政治家はブラジル人の声より、国際的な圧力に弱い」。マクロン大統領による呼びかけによって、世界のリーダーが手を結ぶことはあるのか。今もアマゾンは燃え続けている。

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