巨大ブルドーザーが街を襲った驚愕事件の顛末 警察カメラが撮っていた「激戦3時間の記録」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「何を実際にやるか計画せよ」。犯行計画を練っていたとみられる数多くの痕跡……このガレージの持ち主こそ、この事件の犯人であるマービン・ヒーマイヤーという男だった。彼はなぜ、狂気ともいえる犯行に及んだのか? 今回、警察から入手した2時間48分におよぶ彼の肉声テープなどから、その根源に迫った。

小さな自動車修理工場を経営していた善良な男だったというヒーマイヤーだが、あるトラブルがきっかけで孤立してしまうことに。

もともと、スノーモービルなどウインタースポーツが趣味だった彼が、ロッキー山脈を望むこの町に憧れ、家を購入し、引っ越してきたのは1991年のことだった。

決定打となったコンクリート工場建設

暖かく素朴な住民たちに囲まれた田舎暮らしが暗転するきっかけとなる出来事が、その8年後に起きてしまう。彼の家のすぐ隣にコンクリート工場の建設計画が持ち上がったのだ。キルドーザーが最初に破壊したのがコンクリート工場だったことからも、彼の深い憎悪がうかがえる。

破壊されたコンクリート工場。「ワールドポリスカム~世界の警察が撮った重大事件・決定的瞬間~」は8月31日(土)21時から放送(写真:フジテレビ取材班提供)

産業の少ないこの町に、工場ができれば、職を生み出し、町も潤うなどの経済効果が見込まれ、多くの住民たちが歓迎していた。気がかりは、騒音や公害だったが、建設場所は住民の少ない町外れの土地に決まる。

しかし、その数少ない町外れの住民がヒーマイヤーだったのだ。

工場建設反対の彼は、住民たちに相談するもうまくいかず、ついには自ら弁護士を雇い、町に対して工場建設反対を訴え、裁判まで起こすことに……。結果は敗訴。予定どおり、コンクリート工場は建設されることになった。彼が残した肉声テープからは住民たちへの恨みともいえる心の叫びがうかがえる。

「住民の悪意、町の新参者に対する悪意がコンクリート工場をあの場所に建設させたのだ」

キルドーザー内部(操縦席)の様子(写真:フジテレビ取材班提供)

こうして、住民たちへの憎悪を募らせた彼は、倉庫に引きこもり、あのモンスターマシンを1人黙々と作り始めるのだった。

超大型ブルドーザーを厚さ10センチのコンクリートと鋼鉄で覆い、さらに車体の前後、側面に銃口を開け、5つの銃を配置した。

こうして「キルドーザー」を作り上げた彼はついに、「私は人間の間違いを正すために殺し合いをするのだ」「神からグランビーの住民たちに天罰を下せとお告げがあった」と思い込み、街の破壊を実行に移すのである。

次ページ最初に襲いかかったのはあの場所
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事