しかし、婚活市場は甘くない。30代前半の女性からはお見合い自体をほとんど断られ、お見合いができても2回目のデートにたどり着けないことが続いた。隆一さんは失敗要因を分析し、改善することにした。
「あまりにも趣味にはしった話をすると、女性から引かれてしまうことに気づきました。例えば、私は海外旅行が好きなのですが、メキシコ1人旅の話でその場は盛り上がっても、『結婚生活には不向き』と判断されかねません。業界的には全国転勤があるのかと思われますが、私の職種の場合はそれがないので、転勤の可能性はないことを説明するようにしました」
お見合いの席での態度も微修正した。専門職として客先に出向いて働くことが多い隆一さんは、圧迫感を与えないように低姿勢を保つことが身に付いていた。しかし、それではお見合いの席で初対面の女性に安心感をアピールしにくいと判断。あえて自信があるように振る舞うことにした。
「この人はいいな、と思ったら、離婚理由や養育費を払っていることも隠さずに話すようにもしました。そうすることで、だんだんと打率が上がっていったんです」
工夫と努力の成果は数カ月後に訪れた。現在の妻である綾乃さん(仮名、35歳)とお見合いをし、3回目のデートで「交際」に移行することに成功したのだ。ちなみに綾乃さんは営業職として活躍し、隆一さんと同じぐらい稼いでいる。
「僕と比べて相手が若すぎるという気持ちはありました。でも、結果として、『この人しかいない』と思ったんです。お互いに無理をしなくても一緒にいられるから。これからの共同生活は長いので、それがいちばん大事でしょう」
前の結婚の失敗から学んでほしいこと
結婚して約半年。現在は、「早生まれにならないように」と日数を計算しながら子作りを始めているらしい。生活は明らかに改善したと隆一さんは笑う。
「1人暮らしだと食生活が乱れて家は汚くなります。休日の前は、明け方までNetflixを観てしまうし、外食続きでお金もかかります。結婚すると人並みの生活に戻りました。平日でもあまり夜遅く帰宅すると妻が不機嫌になります。22時頃には帰ろうかな、と自然に思いますね。そのおかげで肌つやがよくなったと周囲から言われています」
隆一さんは健康的になり、綾乃さんも今のところ楽しそうに暮らしているらしい。それはすばらしい。ただし、最後にやはり気になることがある。正直すぎる隆一さんの綾乃さんに対する「上から目線」な発言だ。
「家事はお互いに期待せずにやっていますが、結果的には妻がやることが多いですね。料理も妻。でも、彼女はレパートリーが20ぐらいしかありません。毎日2、3品のおかずを食べるとして、1週間ぐらいで同じものが出てきてしまいます。『また、これ?』と思うことがありますね」
仕事と同じく、家事にも得意不得意があると思う。隆一さんは食にこだわりがあるならば、自分で料理をすればいい。綾乃さんは片付けのほうが得意かもしれない。
懲りない性分を自認する隆一さん。不貞腐れずに、再び幸せをつかもうとする前向きさは長所だと思う。努力の結果、すてきな伴侶を迎えることもできた。
今は過去の反省を生かすべき局面ではないだろうか。前回の結婚生活が失敗に終わったのは、相手選びの間違いだけではなかったはずだ。「こんな自分を選んでもらった」という感謝の気持ちが少し足りなかったのではないだろうか。
初婚で働き者で10歳も年下の綾乃さんが、得意ではない料理を自分のために頑張ってくれている。なんとありがたいことだろう。今夜は綾乃さんの肩をマッサージしてあげながら、感謝することを隆一さんにおすすめしたい。
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