ベテラン営業マンほどやらかす「致命的なミス」 お客様の話の流れをぶった切るNGな受け答え

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「とにかく、いっぺんに注文が来なくなったんだね。あと取引先がつぶれたりもして本当に大変な時代だったよ」
「そうなんですか。それでどうしたんですか?」
「当社も支払いができなくなってね」

 

1.「そうなんですか! それは大変でしたね。ひょっとして、社員の方のお給料が遅配とかになったんですか?」

2.「そうなんですか! それは大変でしたね。じつは、先日もまったく同じような話を聞きましてね。そこの社長は……」

これらはいずれも、営業マンに悪気があるわけではありません。お客様の話をさらに促したり、気遣っていることをアピールしたりするために行っているのでしょう。

しかし、これは完全に逆効果です。せっかくお客様が自分のことを話してくれているのに、その流れをストップさせてしまいます。

こうした余計なひと言を加えると、そこからお客様がなかなか喋ってくれなくなり、商品の紹介・説明へとつなげられなくなってしまうのです。

すぐに解決策を提示してはいけない!

もう1つ、ベテランの営業マンほどやらかしてしまいがちなミスとして、「少し話を聞いただけで、すぐにお客様の抱えている問題の原因を発見し、解決策を提示してしまう」というものがあります。

営業年数の長い人ほど、お客様の話を少し聞いただけで、「一を聞いて十を知る」と言った具体に、

「あー、それは○○が原因ですね」

「それは□□のようにすれば解決しますよ」

と提案してしまいがちです。

これは一見すると、能力の高い素晴らしい営業マンだと感じられるかもしれませんが、これも先程の話と同じでNGです。お客様の話を中断してしまっており、これでは、「もうちょっと言いたいことがあったのに」と、お客様が不満を覚えます。

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また、上から目線に感じられてしまうという重大な欠点もあります。自分のことをすべてわかっているように話されると、お客様としてはおもしろい気分にはなりません。話し方にもよりますが、ダメ出し、説教をされているようにも感じます。

営業に置いて大切なのは、お客様自身に話をしてもらい、営業マンがお客様の話に共感することです。特に合ったばかりのお客様との会話では、営業マンは聞き役に徹し、お客様に気持ちよく話をしてもらう状況を作り出す必要があります。

お客様が自分のことを存分に話してくだされば、お客様との距離を縮めることができますし、営業マン自身の心のなかに「この人のお役に立ちたい」という意欲を高まります。すると、営業マンは自信満々に、自分の取り扱っている商品を紹介できますし、お客様もその提案を受け入れる心の準備ができるのです。

青木 毅 コンサルタント

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あおき たけし

米国人材教育会社代理店入社後、セールスマン1000名以上のなかで5年間の累積業績1位を獲得。1998年には世界48カ国の代理店2500社中で世界大賞を獲得。独立後、「質問型セルフマネジメント」を開発し、大阪府、大阪府警、東京都などの自治体へ指導し、コンサルタント業では大手カーディーラー、ハウスメーカー、保険会社などへ研修・講演を通じて累計3万人以上を指導。ポッドキャストは毎回1万人以上に視聴されている。『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』(ダイヤモンド社)、『なぜ、相手の話を「聞く」だけで営業がうまくいくのか?』(サンマーク出版)など著書多数

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