非正規公務員の不条理、安月給で昇給・昇進もないが、責任は正規並みも《特集・自治体荒廃》

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 だが、期日である04年3月末を前に「5年・6カ月ルール」の撤廃を求める声が非常勤組合員から上がったことから、「6カ月を置かずに採用に応募することを認める。ただし雇用期間は最長3年。その後は離職後6カ月経過して選考に合格しなければ再び採用はしない」という特別ルールを新たに打ち出した。

ただ、筆記試験や面接をパスする必要があり、348人が受験したものの、継続雇用されたのは138人にとどまった。

そして3年後の06年度末、再び組合の運動に直面したことから、県は「期間は最長2年。その後は離職後6カ月を経過しなければ再採用しない」というルールを提示。99年度以前からの職員に関して、6カ月を空けずに応募資格を与えた。この時は91人が応募したものの、合格者は44人にとどまった。

そして今回も組合の運動に直面。県は「厳しい雇用情勢を考慮」して、「6カ月置かずに応募の機会を与える。ただし雇用期間は1年限り。その後は6カ月経過しなければ再採用しない」という特別ルールを提示。その一方で、本来のルールについては一切の見直しを行わなかった。

現ルールを見直さない理由を、新潟県人事課は次のように説明する。

「公務員の採用には厳格なルールが定められていることや、定数外の常勤的職員を発生させてはならないことから、非常勤職員の雇用は有期雇用の形態によらざるをえない」

そのうえで、6カ月もの空白期間については「法的な根拠はない。規定の趣旨は連続的な任用はしないということ」(人事課)と述べている。

だが、空白期間に関する自治体のルールはさまざまだ。1カ月の自治体があれば、1日の自治体もある。また、空白期間を設けない自治体もある。

また、「5年で雇い止め」のルールも一般的なものではない。東京都荒川区のように、雇用継続期間を設けず、能力や実績があると判断すれば非常勤職員を雇用し続けている自治体もある。

   

重責担う非正規公務員 保育園のクラス担任も

公務員といえば雇用が安定し、給料も恵まれているイメージがあるが、臨時や非常勤などの非正規公務員の立場は極めて不安定だ。一時的な職であるとの建前から昇給はなく、交通費が支給されない場合も少なくない。一方で正規公務員並みの重責を担わされている事例もある。

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