人手不足を理由に採用基準下げた会社の行く末 「入社してから育てる」がNGなこれだけの理由

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入社時点で必ず持っていなければならない能力なのか。それとも、入社後の一定期間教育を施すことによって、引き上げられる能力なのか。採用基準を設定する際には、この切り口で整理することが重要です。

入社後の教育により、引き上げられる代表的な能力は、「コミュニケーション能力」です。ところが、多くの企業で、コミュニケーション能力の高い人材が人気を集めています。経団連の「新卒採用に関するアンケート調査」で、選考に当たってとくに重視した点の16年連続1位となっているのが、コミュニケーション能力です。面接選考が主流ですから、受け答えがしっかりし、自身の言葉で話ができる人ほど評価が高くなるのはある意味仕方がないことです。

では、コミュニケーション能力は引き上げられない能力でしょうか?

答えはNOです。いくら話すのが苦手な人でも、それはコミュニケーションをうまく取る方法を知らないだけの場合が多いものです。コミュニケーション能力は、採用後でも教育次第で引き上げられる能力なので、採用基準からは外すべきなのです。コミュニケーション能力に限らず、後天的に伸ばせる能力は、今すぐに採用基準から外すべきです。

いい人材を集める会社が重要視する採用基準

いい人材を集める会社の採用基準には、先天的能力に値する「自己認識(アイデンティティー)」「信念・価値観」を重要視したものを盛り込んでいます。つまり、「価値観」のマッチングです。

生まれて数十年もの年月を経て、身に付けてきたものが「自分は何者か」というアイデンティティーであり、「大切にしている」信念、価値観です。これらは、簡単に変えられるものではありません。採用基準の設定においても、「性格のマッチング」「価値観のマッチング」は、非常に重要なファクターの1つです。

会社にも性格というものがあります。企業規模や給料などが「外見」の情報とするならば、経営理念、ミッション、ビジョン、そしてどんな社員がどんな理由で働いているのかといった情報は、その会社の「性格」を表します。まさに、これまでに事業を展開してきた歴史の中で大切にしてきた考え方、価値観です。こういった自社の価値観に合う人材かどうかは、外せない採用基準といえます。

採用は結婚と同じです。互いに外見だけで選んでいたら、長続きしないことでしょう。

とくに、転職者は、今の勤め先の考え方、やり方が合わなくて、新しい環境を求めているケースが多いため、転職先を「性格」で選ぼうとする傾向が強いものです。リーマンショックや東日本大震災が起こり、全般的に働くことに関する意識に変化があるといわれています。新卒学生が、就職先を決める際のポイントに変化が見られています。

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