債務超過の曙ブレーキ、銀行との溝は埋まるか 経営危機の引き金となったアメリカでの失敗

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近年は厳しい業績が続いた曙ブレーキ工業(記者撮影)

8月6日に発表された2019年4~6月決算は、売上高520億円(前年同期比17%減)、営業利益8億円(同21%減)の減収減益。さらにリコール関連で78億円の特損が発生し最終損益は88億円の赤字(前年同期は3億円の赤字)となった。結果、2019年6月末に4億円の債務超過に転落してしまった。

荻野好正副社長は「9月18日の債権者会議で債権放棄の合意がまとまり、9月末に増資ができれば、債務超過は第1四半期だけにとどめられる。まずは交渉がまとまるように頑張っていきたい」と話した。

経営危機を招いたアメリカでの工場買収

曙は自動車用のディスクブレーキ摩擦材で国内シェア約5割を占め、プレミアムメーカーを含む世界の主要な自動車メーカーのほぼすべてと取引している。筆頭株主はトヨタ自動車(11%)ではあるが、独立系と位置付けられる。日系の競合他社が「摩擦材の技術力は世界屈指」と評価する自動車部品の名門だ。

一方、その業績は低迷している。直近5年間で最終赤字は3期、最終損益を累計すると426億円の赤字になる。足を引っ張っているのはアメリカ事業で、2019年3月期は37億円の営業赤字となった。この背景には過去の買収の失敗がある。

2009年に曙はドイツ・ボッシュがアメリカで運営していた2工場を約10億円で買収し、デトロイト3(GM、フォード、クライスラー)との約580億円の取引を手中に収めた。リーマンショック後にアメリカ市場が回復する過程で受注は急増。工場買収は成功したかに思われた。

しかし、ボッシュの古い工場を曙はマネージできず、生産現場は深刻な混乱に陥った。曙は外部からアメリカ人の経営者をヘッドハントして立て直しを図ったものの、新製品の立ち上げ失敗が続いた。顧客の信頼を裏切ったことで、主要顧客であるGM向けの部品を失注。足元ではアメリカ工場の稼働は低迷したままだ。

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