「虎党」の鉄道マンが作った驚きの路線図アート 遊び心の中に込めた「公共デザイン」の神髄
地下鉄の駅構内に掲示されている大きな路線図の前を子どもたちが通り過ぎる。一見すると何の変哲もない地下鉄の風景だが、路線図をよく見ると、「あれ? どこかで見たことがあるマークだぞ……」。
描かれているのは虎の顔だ。「虎党」ならずともプロ野球ファンならピンと来るはず。この虎の顔は、阪神タイガースの球団旗やユニホームに描かれている「虎マーク」なのだ。
駅名の代わりに選手名が
ここでようやく「こんな路線図は存在しない」ということに気づくだろう。この路線図は、関西の鉄道会社(阪神電鉄ではない)に勤務する大森正樹さん(52)の創作だ。
大森さんは阪神タイガース検定・会場試験に合格したほどの筋金入りの虎ファン。大学でデザインを学び、鉄道会社入社後は車両デザインに携わる。つまり、タイガースと鉄道とデザインの3分野に造詣が深い希有な人物であり、東洋経済オンライン2016年8月19日付記事(「阪神『虎マーク』が80年間も変わらない理由」)も執筆している。
「この写真は2006年の年賀状用にデザインしたんです」と、大森さんが笑う。「A Happy New Year」という記載とともに大森さんの名前が書かれており、右側に2006という数字と犬のイラスト、左側には2005という数字と鳥のイラストがあることからも確かに年賀状である。鳥のイラストがかつての南海ホークスの「鷹」マークであることに気づいて、ニヤリとした人もいるだろう。
写真ではわかりにくいが、この路線図は駅名の代わりに選手名や歴代の監督名が記載されており、優勝年の打順などで選手名が並んでいる。じっくり読み込んだら正月3が日があっという間に過ぎてしまいそうだ。
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