日韓関係悪化が影落とすJR「新型高速船」の針路 博多―釜山「クイーンビートル」来夏就航
クイーンビートルは全長約83m、幅約20mで、アルミ船体の高速船を専門的に手がけるオーストラリアの船舶メーカー、オースタル社が建造。費用は約55億円で、2018年2月末に建造契約を締結し、同年12月末に起工した。
定員はジェットフォイル(191人)の約2.6倍となる502人。船内は3層に分かれ、1階は普通席にあたるスタンダードクラス席を中心にラウンジや子どもが遊べる遊具などを備えた「キッズスペース」、2階は上位のビジネスクラス席と免税店を設置する。3階は室内から展望を楽しむ「サンデッキ」と屋外デッキだ。
座席はスタンダードクラスが382席、5000円の追加料金で利用できるビジネスクラスが120席。ビジネスクラスは60度までリクライニングできるシートを新幹線のグリーン車より広い1.4m間隔で配置し、博多を午前中に出発する便では、「ななつ星 in 九州」に食事を提供する大分の創作料理店の監修によるオリジナルサンドイッチなどを出す予定という。
メーカーは手強かった
水戸岡氏はデザインについて「船内を自由に動けて心地いい時間を過ごすということに重きを置いた」と語る。「高速船から客船へ」というキャッチフレーズが表す通り、現行のジェットフォイルと比べて所要時間はやや延びるものの、シートベルトは不要となり、船内を歩き回れるのが売りだ。
一方、海外メーカーとのやり取りは難しい点も多かったようだ。水戸岡氏は船を建造するオースタル社について「手強かった」といい、「日本のメーカーとの契約は、途中で若干の変更があってものみ込んでいくが、海外は右から左に少し移すようなことでも契約書にのっとって進む。デザインについても色や形、全部文言でガイドラインがつくってある。こちらから契約書に書いておかないと、変更を余儀なくされることも起きる」と、日本と海外の契約に対する考え方の違いについて語る。
「今後、日本のやり方は通用しないかもしれない」と水戸岡氏。クイーンビートルは玄界灘の荒波に乗り出す前に、グローバル社会の荒波にも直面したようだ。
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