ホンダが3Dデータ公開で狙う「世界拡散」 「もう一度、クルマに興味を持っていただきたい」

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サイトは英語のみ、狙うは全世界での拡散

このサイトでもうひとつ特徴的なのは、言語が英語のみであること。従来の日本企業のコーポレートサイトでは、英語版を用意することはあっても、日本語版は欠かせないのが普通だろう。

「家庭用3Dプリンタが普及してきているのは、日本だけではありません。アメリカや中国の富裕層などでも普及が見られます。また、ソーシャルメディアでも拡散してほしいという狙いがあり、あえて英語のみにしました」(同担当者)。

ちなみに、今回の取り組みについて、ウェブサイトへの訪問者数など、定量的な目標は設けられていないそうだ。

サイトで公開されている「FUYA-JO」の3Dデータ

3Dデータを公開することにより、同社の思惑と異なる不本意な使われ方をするリスクについては、「初めての試みなので、社内の知的財産部などとも議論をした。今回は非営利目的に限ってダウンロード可能であり、『クリエイティブ・コモンズ4.0』という著作権基準に沿った形で使ってもらえれば」と言う。

今回の取り組みは、ホンダの「モノづくり」への姿勢や思想を社内外で展開する、新しいグローバル・ブランディング・プロジェクトの一環。ホンダの「モノづくりが好きな社員が集まっている」というブランドを伝え、他社との差別化を図ることを目的としたものだ。第1弾は、2013年11月に開かれた「東京モーターショー」のプレスカンファレンスにおけるオープニング映像として公開されたブランドCM「Super ultra daydreams」。今回が第2弾だった。

海外の自動車業界では、昨年、ポルシェが「ケイマンS」の3Dデータを無償で配布するキャンペーンを実施した(コンセプトカーではない)。また他業界では、アメリカのスミソニアン博物館が収蔵品の3Dデータを同じく無償で配布した。

企業による3Dプリンタを活用したコミュニケーションは増えてきている。今後は、出力して鑑賞するだけでなく、出力して具体的な用途で使える実用性のある3Dデータや、ユーザーが加工して楽しめる余地を残したカスタマイズ型の3Dデータの活用が予想される。

■特設ウェブサイトHonda 3D Design Archives

岡 徳之 ライター Noriyuki Oka Tokyo 代表取締役

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おか のりゆき

1986 年長崎県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、PR 会社ビルコムで2 年4 ヶ月勤務。2011 年8 月に企業PR・ウェブ企画開発・編集ライティングを専門分野として開業。現在はシンガポールを拠点に事業運営に携わる。国内大手企業のウェブプロモーション業務に従事する傍ら、CNET Japan やITmedia など国内の有力ニュースサイトを中心に10 数媒体で執筆を担当。ライターとしての専門領域はIT・ビジネス・マーケティング・クリエイティブ・ライフ・グルメ・人物インタビューなど多岐に渡る。事業会社が運営する自社メディアでの編集ライティング案件にも携わる。異なる専門領域を持つフリーライターと連係し、編集プロダクション的機能も果たす。

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