歯ぐきマッサージを歯科医が勧める深い理由 1日3時間やるかはともかくとしても…
「歯ぐきマッサージ」には2つの方法がある
「歯ぐきマッサージ」には手指を使ってじかに歯ぐきをマッサージする方法と、歯ブラシで歯ぐきをマッサージする方法の2つがあります。
前者は、歯科医院で歯科衛生士が行っていることが多いようですね。歯ぐきを触ってもらうのは気持ちよく、リラックス効果はあるでしょう。歯ぐきの血流改善効果も期待できます。ただし、歯周病に対する効果は未知数ですね。
後者はセルフケアとして歯みがきの際、自分でマッサージをします。実は歯ブラシによる歯ぐきマッサージは、30年ほど前、バブルの頃に一大ブームになりました(覚えている人がいらっしゃるかもしれませんね)。
歯科医師の故・片山恒夫氏が考案した「片山式ブラッシング」という方法で、歯槽膿漏(しそうのうろう、歯周病のことです。当時はこう呼ばれていました)の治療として、1日3時間、朝、昼、晩1時間ずつ行うというもの。歯と歯の間や歯との境目の歯ぐきを歯ブラシで刺激します。
今にして思うと1日3時間、というのはすごいですね。片山式で「重度の歯槽膿漏を改善したケース」なども紹介され、師事する歯科医師も大勢いました。私も講演会に行ったことがあります。マッサージに関する本も複数出て、ずいぶん売れたようですから、実践した読者の方もたくさんおられるでしょう。マスコミにもしばしば取り上げられ、朝日新聞に掲載されたこともありました。
1日3時間磨くことが推奨されるかどうかはともかく、歯ぐきのマッサージ自体は歯周病に一定の効果があると思います。なぜなら歯周病によって炎症が起きている歯ぐきは歯垢(しこう)がたまり、そこで歯周病菌が繁殖しています。
マッサージによってこの部分が清掃され、ある程度、病巣を取り除くことができると考えられるからです。炎症がおさまれば腫れていた歯ぐきも引き締まってくるでしょう。