男性が不慮の死「外国人収容所」悪化する惨状 今もハンガーストライキが行われている

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日本はゆっくりと労働移民に向けて開かれつつあるが、それと同時にその他の長期移民に対しては門戸を閉ざしつつある。2018年の帰化者は9074人で、1992年以来最低の数字となっている。この数字はフランス(人口は日本の半分)の12分の1であり、スイス(同15分の1)の4分の1だ。永住権取得の条件も厳しくなっている。

現在、申請者は住民税を過去5年(以前は3年間)、年金と保険料を過去2年にわたり期限どおりに支払っていることを示す必要がある。

こうした日本の「鎖国化」は集団自殺めいている。この現象が起きている今現在、日本では人口減と高齢化が加速しており、多くの業界で国内市場は先細り状態にある。日本人が「移民に優しい国々」が現在直面している問題を避けたいことは理解できる。しかしそれは、人口が減るに任せるより本当に“まし”な選択なのだろうか。

6カ月以上の収容は5割以上に

不法移民はいずれの先進国でも問題となっている。この問題は外国人労働者の数が増えるにつれて日本でも今より深刻になるかもしれない。しかしそれは、不法移民の基本的人権を奪う理由にはならない。日本がこれまでのところ不法移民について示しているのは残虐性であって「おもてなし」ではないし、良識ですらない。

日本の不法滞在者の数は、欧米諸国の不法滞在者と比較すると取るに足らないと言っていいほどだ。ピークだった1993年1月1日現在(29万8646人)以降、2019年1月1日現在には7万4167人にまで減ってはいる。一方で、不法滞在者の収容期間は長期化しており、「移住者と連帯する全国ネットワーク(SMJ)」によると、54.7%の不法滞在者が6カ月以上収容されている(2008年は4.8%)。あるネパール人は5年以上にわたって牛久入管に収容されている。

また、非正規滞在の外国人は理由なく収容することができることになっており、実際に、新たに収容される場合も些細な理由で収容される。収容は裁判官による審査を受けることなく決定され管理されている。非正規滞在者が日本の裁判所に自分のケースについて審理するよう求めても、「裁判所は40年以上前の判決を引き合いに出して、日本では在留資格がなければ実験がないかのように扱われます」と、移民問題に詳しい弁護士は語る。

「一時的」な釈放期間(仮放免)は、入管の一存でどんどん認められなくなっており、仮放免却下の理由も判然としない。仮放免されても、こうした外国人たちには労働や健康保険に加入する権利、銀行口座を開設する権利、居住地域を離れる権利は与えられない。

「これは日本が2018年12月に承認した国連の『安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト』と完全に矛盾しています」と前述の弁護士は語る。この協定では、とくに勾留については各国が「最後の手段としてのみ」「可能な限り短期間」「公正な手続き」によって扱うと約束している。が、すべての項目を日本は踏みにじっているように思われる。

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