電鉄が「老いる郊外住宅地」を見捨てないワケ 東急と京王が住民とタッグを組んで問題解決
ある日、街中でたまたま会った知人から、「住民創発プロジェクト」の1つ「フラッシュモブ実行委員会〔現・たまプラ一座(いちざ)まちなかパフォーマンスプロジェクト〕」に参加しないかと声をかけられた。たまプラーザ駅前広場を舞台に、雑踏の中で突然始まるパフォーマンスを、住民みんなで作り上げようという試みだ。
さまざまな世代がともに暮らす楽しさを「育ちあい」というコンセプトに乗せた。ベビーカーを押して登場する岸田さんの歌を幕開けに、子どもたちが続いて、通行人にまぎれていた老若男女、総勢150人が次々に加わっての時ならぬパフォーマンスに、駅前は沸いた。「練習では、子ども、大人、そしてお年寄りまでがお互いに教え合い、育ち続けました。それこそが『まちの底力』になると思うのです」。
職住近接、「住み替え」にも対応
東急電鉄はこれまでの成果を踏まえて、たまプラーザ駅近くに集合住宅「ドレッセWISEたまプラーザ」を完成させた。
低層部に整備した地域利便施設「CO-NIWAたまプラーザ」には、コミュニティ・カフェや保育園・学童保育とコワーキングスペースを導入し、あわせて地域交流イベントやフリーマーケットを開催できる広場を設けて、コミュニティーの核とした。
上層部のマンションは、例えば高齢で坂の移動が苦になった、高台の居住者の住み替えも視野に入れて販売。東急電鉄の森口さんは「いつまでもたまプラーザで暮らせる、持続可能な住宅地を目指していきたい」と語る。
一方、連合自治会長の辺見さんは、「社会参加のまちづくり」が成功のカギだと強調する。その「場」のひとつ、「3丁目カフェ」を訪ねた。「3丁目カフェ」なのに、所在は美しが丘1丁目。「もともと、地元の3丁目に作るつもりが、空き店舗の都合もあって」と、オーナーの大野承(しょう)さん。
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