まさに佳境、「相鉄・東急直通線」工事現場を歩く 巨大なシールドマシンが地下深くを掘り進む

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その現場に用いられていたセグメントは、鶴見川の氾濫を起源とする軟弱な粘土層に対応するため、特段の強固さがある合成セグメントであり、1ピースの幅は1.5m。昼夜一貫しての掘進で昼に4リング、夜に4リングを施工するため、1日12mの計算になる。工程上の休日を挟んで、月進250~300mといったところだ。

この先さらに掘り進めて硬い上総層に入ると、幅2mのRC(鉄筋コンクリート)セグメントに替える計画である。幅が広くなる分、工数が減って進捗が早く、そしてコストダウンになる。

トンネル掘削の最前線と聞けば、耳を圧するほどの騒音を想像していたが、今やそのようなものではない。聞こえてくるのは換気のための送風の音や、マシンのカッターを駆動するモーター音程度で、会話もほぼ普通にできる。開削工法の現場と異なり、マシンが進んだルートには整然と完成状態の円形トンネルが連なっている。取材日時点でのマシン位置は、発進立坑から約250mであった。

ちなみに他の工区を見ると、新横浜駅も地下4層構造の駅とするべく、開削工法による掘削、進捗した一部では構築を施工中。羽沢横浜国大~新横浜間の羽沢トンネル3515mは羽沢横浜国大駅側の発進立坑から複線シールドマシンが新横浜駅に向けて掘進中であり、すでに3分の1近く進行している。

地上には掘削土の処理プラント

最後に案内されたのは、地上の掘削土処理プラント。排泥管を通して運ばれてきた泥水は最初にふるいにかけられ、粒形の大きい砂を分ける。

『鉄道ジャーナル』2019年9月号(7月20日発売)。特集は「筑豊各線を歩く」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

次に濃くなった泥を沈殿槽で沈殿させた後、濾過して水分を抜きマット状にする。これを「泥水ケーキ」と称する。これを乾燥させたらベルトコンベアで3つ目の装置に投入し、薬剤を加えて、自然由来の重金属が溶け出さないよう処理し、埋め立て基準に合致した土とする。これらの処理を施した改質土はダンプトラックで搬出、横浜市資源循環局の南本牧廃棄物最終処分場に運ばれ、埋め立てに使用されることになる。

工事現場を離れて鶴見川の堤防に立つと、中原街道越しに東横線電車が鉄橋を通過してゆく光景が望める。地面の数箇所に直径5cmに満たない鋲が打ってあり、鉄道・運輸機構の略号である「JRTT」と筆記されている。それは今しがた歩いてきたトンネルの軌道中心線の標であった。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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