まさに佳境、「相鉄・東急直通線」工事現場を歩く 巨大なシールドマシンが地下深くを掘り進む

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立坑には円形シールドの穴が大きく口を開けており、真新しいトンネルが最前線に向かって35‰で下っている。鶴見川の先は大倉山付近までは東横線の直下を進むが、一帯は台地状のため、地表からの深さは約60mになる。建物の杭との離隔を十分に取るためだ。その最深部から一転して急勾配を上り、首都高速横浜環状北線のトンネルを乗り越えて新横浜駅に至る。

シールドマシンがうがつトンネルの外径は9.5m。掘進と同時に後部に厚さ40cmのセグメント(覆工)を施工してゆくのでトンネル内径は8.7mとなる。その円筒には仮設の床が敷き詰められ、その面上に複数のレールが通っている。左右に配置されているのはマシン本体を動かす電源や操縦室、その他資材等を乗せる「後続台車」用で、中央のレールは地上から吊り下ろしたセグメントを運搬するための線路である。立坑付近に蓄電池機関車が留置されていた。

シールドマシンの後部は「地下工場」

その線路上を歩いてゆくと、片側14両ずつ(状況によって変わる)の後続台車が連なっている。これらを伴って1台のマシンとしての機能を果たす。

シールドマシン最後部。奥にセグメント端部と推進用ジャッキが見える。ここでは土を見ることもない(撮影:山下大祐)

それが尽きると、地下工場とも呼べそうなシールドマシン本体の最後部にたどり着いた。本体の全長は約12m。その先端でカッターを取り付けた円盤がゆっくり回転して地盤を削ってゆく。切羽の崩壊を押さえるため泥水で圧力を掛けながら掘り進むため、「泥水シールド工法」と呼ばれる。泥水は、送泥管と排泥管を使って地上との間で循環している。

そして、マシンが地中を掘り進んだら、その直後で1リング分8ピースに分割されたセグメントをエレクターがはめ込んでゆく。作業者は、泥水があふれ出る場面はもちろん土を見ることもないのが現在のシールド工法である。

前進は、装置後部の円周に取り付けられた300tジャッキ28台が、施工したばかりのセグメント端部を支点に突っ張ることにより行われる。合計8400tの能力となるが、実際に使われる圧力は4000t程度だそう。ジャッキで押して伸びきったら新たなセグメントをはめ込み、ジャッキの支点を移し替えて次なる前進に移る。

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