「東大中退」「余命5年」42歳ラッパーの壮絶人生 ダースレイダーを支えたヒップホップの精神

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脳梗塞の原因は、内科や脳神経科で意見が分かれたという。遺伝性を疑っても父親は他界。母親もダースレイダーが15歳のときに亡くなっていたため、調査ができない。健康診断も受けていないから過去のデータもなく、原因の検証などしようもなかったのだ。

左目失明、余命5年宣告

脳梗塞の治療で入院中、ダースレイダーは自分の身体とようやく向き合うことになる。検査では糖尿病に罹患していることも発覚し、その悪化に伴い、左目が視野欠損を起こしてしまった。つまり、失明である。

ただ、ダースレイダーを襲う病はそれだけでは終わらなかった。

退院してからも定期的に内科、脳神経外科、眼科の検診を続けたが、腎臓の数値が悪化し始め、2017年、ついに医者から告げられたのだ。

「このまま何も手を打たなければ、余命はあと5年といったところです」

普通であれば、生きる気力まで奪われてしまいそうなほどノンストップで迫りくる病の数々。40歳という若さで告げられた、わずか5年という余命。

しかし自身の状況を語るダースレイダーは至って冷静で、悲壮感もない。怖くないのだろうか?

「まぁ僕も暗い気持ちにはなるし、落ち込みますよ(笑)。起きたら全部夢だったってことにならないかなぁって思ったり。でも、くよくよして解決するならくよくよするけど、それで良くなることはないですからね。どうやったらこの問題をクリアできるのかをゲーム感覚で捉えているのかもしれませんね」

実はダースレイダー、左目の視力を失ってから1年後、今度は右目から出血。両目ともに見えなくなるという緊急事態に襲われていた。手術で右目の視力は回復したものの、手術前夜、ダースレイダーは何も見えない状態である試みに挑戦する。

「あのときは一時的に両目が見えなくなりました。医者からは『手術に失敗すれば、このまま両目の視力を失います』と言われていたので、そうなったときの予行練習というか、シミュレーションも兼ねて、何も見えない状態でライブをしたんです、手術前夜に。その名も『座頭市ライブ』!(笑)」

悪人を退治する盲目の刺客「座頭市」にインスピレーションを得て、危機的状況を逆手に取るように両目が見えないままライブを決行したのだ。そのメンタルの強さはいったい……。

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