JR東労組、大量脱退の背景に何があったのか タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー

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――JR東日本の組合問題は今後どのような方向に向かうのでしょうか。

ここに至るまで30年もの時間がかかったのですから、JR東日本の経営者も性急に事を進めず、時間をかけて慎重に判断していくのではないでしょうか。

――『昭和解体』と『暴君』で、国鉄からJRにつながる歴史はすべて書き尽くしましたか。あるいは第3弾があるのでしょうか。

『暴君』(小学館刊)、画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

昭和解体の前に『不屈の春雷――十河信二とその時代』(ウェッジ)という本を書いています。これは明治から始まって、十河氏が後藤新平氏と出会い、そして十河氏が新幹線を造るまでの話です。

十河氏は、国鉄内外の誰もが猛反対する中で、当初の建設予算をわざと低く見積もって国会で予算を通した、つまりウソをついてまで新幹線を完成させました。東京オリンピック直前の開業式のときは国鉄を石もて追われ、1人寂しくその様子をテレビで見ていたんです。彼がいなければ、その後、高度成長を遂げる日本の「背骨」となる新幹線はこの世に生まれなかったでしょう。

リニアの経済効果を検証すべき

しかしその年(1964年)、皮肉なことに国鉄は赤字に転落し、以降、どんどん赤字が膨らみ、最後に解体され、そして今日、JRができておよそ30年が経ちました。明治から平成に至る鉄道の物語を書き尽くしたという思いはあります。

今、気になっているのはリニア中央新幹線です。日本のものづくりという点において、リニアという技術が、ITなど先端分野で後手に回っている日本の起死回生の武器になる可能性はもちろんありますが、リニアがもたらす経済効果についての検証はきちんと行われているのでしょうか。

もはや東海道新幹線開業時のような元気な時代でもないし、むしろ人口が減少期に入っているのは誰の目にも明らかです。そこに巨額の資金を投入して建設する必要性がどこまであるのか、この点についてメディアはもっと俎上に載せて、議論を盛り上げていくべきではないでしょうか。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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