JR東労組、大量脱退の背景に何があったのか タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー
マスコミ側に「恐怖心」があった
――JR東日本の鉄道路線を多くの国民が毎日利用しており、同社は就職したい会社としても学生に高い人気があります。その会社の内部で、しかも現代の日本で、本書に書かれているようなことが起きていたというのが信じられません。世間が持つJR東日本のイメージと、なぜここまでかけ離れているのでしょうか。
われわれマスコミが正確に報道しなかったからです。恐怖心がマスコミの側にあったのだと思います。
――恐怖心?
そうです。決定的となったのは、1994年にJR東日本管内のキヨスクの売り場から『週刊文春』が全部排除された問題です。小林峻一氏の「JR東日本に巣くう妖怪」と題する連載記事にJR東日本の労使が激しく反発、キヨスクでの販売拒否という信じがたい行動に出たのです。
あの当時は新聞も雑誌の駅売りの比率が非常に高く、キヨスクで販売できないと経営的には非常に痛い。キヨスクに『週刊文春』だけ並ばないという状態が3カ月も続きました。結局文春が「全面降伏」して事態は収束しましたが、こうなるとマスコミの側で自己規制が働き、松崎明氏や異常な労使関係の問題は扱いづらくなってしまいました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら