異色の「自転車列車」、愛好者と育てる手作り感 房総に人を呼び込む「B.B.BASE」の秘密

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車両が決まると、次の問題は車内のレイアウトだ。いかにして、自転車を安全かつ簡単に積み降ろせる構造にするか。まずは市販のラックを試してみたが、うまくいかない。

「揺れる車内でも外れないなど、安全性をしっかり確保したうえで、どなたでも簡単に着脱できる必要がありました」(八木氏)

自転車を搭載するため背もたれ部分が強固な造りになったボックスシート。広々としておりサイクルトレイン以外にも活用できそう(筆者撮影)
自転車を縦置きにする専用ラック。B.B.BASEのWebサイトには寸法の制限が細かく書かれているが、一般的なロードバイクやクロスバイクなら搭載可能。タイヤが太いマウンテンバイクには対応しない(筆者撮影)

そこで出てきたのが、向かい合わせボックスシートの背もたれを強固なものにし、座席の背後に自転車を縦置きするラックを設置するというアイディアだ。手前に引き出したガイドフレームとラックで前輪を挟み込むようにセットし、ナイロンベルトで車体を固定する。シンプルで確実な機構だ。

縦置きラックのアイディアは、偶然にも209系のドア配置に合っていた。ボックスシートを配置すると、ドアと背もたれの間のスペースがちょうど標準的な自転車の高さと同じになり、ドア部に大きく干渉することなく縦置きできたのだ。さらに、座席を4+2人の配置にしたところ、1人分の座席幅がロードバイクの車体幅と一致。各座席の裏に1台ずつ搭載できる、理想的なレイアウトとなった。

「まるで、最初から自転車を搭載するために設計されたような寸法でした」(利渉氏)

乗客とともに創るB.B.BASEのコンテンツ

こうして完成したサイクル専用車両は、総座席数99席。床にはビンディング付きシューズに対応するゴム製の滑り止めが敷かれ、各座席には飲食も可能なテーブルとスマートフォンなどを充電できるコンセントが設けられた。4号車は一部の窓と乗降扉を撤去してフリースペースとし、大型液晶モニターが配置された。列車名は「B.B.BASE(BOSO BICYCLE BASE)」と決まり、2018年1月6日から運行が開始された。

現在、「B.B.BASE」は週末と祝日を中心に運行され、両国駅地平3番ホームから発着している。すべて旅行商品として扱われ、インターネットかびゅうプラザで、前日18時(または営業時間内)まで予約可能だ。

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