ポルシェやアウディが「SUVクーペ」投入の理由

人気の高いSUVカテゴリーで細分化が進む

初代「レンジローバ・イヴォーク」(筆者撮影)

日独以外ではイギリス・ランドローバーの「レンジローバー・イヴォーク」が印象的だった。こちらは2008年のコンセプトカー「LRX」が源流で、日本では2011年に発表された。ただしスタイリングが似ていたHR-V同様、LRX由来の3ドアクーペが存在していたのは初代だけで、今年発売した2代目は5ドアのみとなった。

近年は日本のみならず欧州でも2/3ドア受難の時代であり、小型スポーツカーのメルセデス「SLC」、アウディ「TT」はともに生産終了を発表した。2台のライバルであるBMW「Z4」がトヨタ「スープラ」との共同開発となったのも、こうした事情が絡んでいるかもしれない。

SUVのマーケットが急速に拡大

それを考えればドイツのSUVクーペが最初から5ドアのみで出てきたのは、現状を察知した手堅い戦略と言える。ただしジャーマンSUVクーペは日本車勢やイヴォークとは立ち位置が異なる。新しい車種として新しい価値を提案した日英の車種とは対照的に、ドイツ勢はすべて基本となるSUVがあり、バリエーション展開としてのクーペである。

日産の「ジューク」(筆者撮影)

昔は同じ車種に4ドアセダンと2ドアクーペ(あるいはハードトップ)を用意することが多かった。トヨタの「カローラ」にもクーペがあった。しかし前述のように2/3ドアを好む層は次第に減り、「86」のように独立した車種として付加価値をアピールすることが一般的になっている。

対照的に増えているのがSUVで、当初はバリエーションの1つにすぎなかったが、近年マーケットが急速に拡大し、ワゴンに近いクロスオーバーSUVからミニバンを思わせる3列シートSUVまで、さまざまなパッケージングが生まれている。SUVの中にセダン、クーペ、ミニバンなどのバリエーションがあるような状況だ。

BMW「X6」(筆者撮影)

ここまでSUVの車種が増えた理由として、背の高さによる使いやすさや乗りやすさ、ミニバンのような生活感が薄いカジュアルな雰囲気、技術の進歩で背が高くても走りの性能を確保できるようになったことなどがあるが、メーカーにとっては付加価値型商品、つまり高く売れることも大きいと思っている。

4WDなどオフロード走行を考慮したメカニズム、生活を楽しむための車種という方向性が、こうした位置付けにつながり、多くの自動車ブランドがSUVを用意する理由の1つになっていると考えている。

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