スーパー銭湯「極楽湯」は中国でも通用するのか 10年以内に100店体制を目指すが課題は多い

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上海1号店にある露天風呂。この店舗は日本に逆輸入され「RAKU SPA」というブランドで運営されている。中国進出が国内事業の拡大にもつながった(写真:極楽湯ホールディングス)

ただ、中国に進出してからの6年間でフランチャイズ展開した施設は4店舗にとどまり、決して多いとはいえない。フランチャイズ運営企業の都合や、運営の許認可をつかさどる現地当局との調整に時間を要しており、店舗網が広がっていないのが実情だ。

実際、2019年は中国で8店舗ほどの出店を計画していたが、そのうち4店舗は先述の理由で2020年以降に開業が延期されたことが、6月下旬に発表された。中国では商業施設内への出店も進めているが、商業施設の運営企業にも許可を得る必要があり、出店のタイミングは極楽湯側もコントロールが難しい状況が続いている。

「銭湯」という文化の浸透がカギに

極楽湯HDにとっては、100店舗を目指すうえで、盤石な体制づくりは急務だ。店舗拡大に協力してくれる現地企業の選定が、ことさら重要となってくる。

また、温浴施設のニーズをさらに深耕することも課題の1つだ。中国では「お湯につかること」自体にはいまだ重きが置かれておらず、日本人が平均1時間程度、サウナや水風呂などを含め浴室にいるとすれば、中国人はその半分の30分程度だという。極楽湯の進出以降、日本ならではの楽しみ方が普及し始めたといっても、それが十分に浸透したとはいえない。

近年は冬に客数が集中し、入場するのに1~3時間待ちになるというが、(例年1~2月ごろの)春節を超えると客足が落ちてくる。銭湯という文化を浸透させ、日常的に訪れてもらうことができるかがカギとなる。

現地での競争にどう打ち勝っていくのか。極楽湯には「開拓」から「拡大」という次の課題が差し迫っている。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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