「打算的な人」ほど人から信頼を得られない理由 長続きする友情は自己開示から始まる
ただ「お近づきになる」だけでは人脈は広がらない
「会社の上司や取引先の重役などの偉い人との距離を縮め、仲良くしたいと思うのだけどどうしたらいいですか?」という質問を受けることがあります。
会社の中で力を持っている人や、業界の実力者など、力のある人、尊敬できる人に出会ったときに「仲良くなりたい」「お近づきになりたい」という気持ちになるのは当然のことです。でも、ただ単に名刺を交換したり、立食パーティーで雑談したりするだけでは、なかなか相手との距離は縮まらない、というのが実際のところではないかと思います。
ただ、そもそも、「仕事上のメリットがあるから」「相手から有益な話を聞けるから」という理由だけで距離を縮め、人間関係をつくるということが本当にできるのか。できたとしても、それは本当にあなたの仕事を長い目で見たときにプラスとなるのか、ということは、考えておいたほうがいいでしょう。
『嘘はフィクサーのはじまり』という映画があります。リチャード・ギア扮する自称フィクサーの男・ノーマンが、ある日、イスラエルの若い政治家に、偶然を装って高価な革靴をプレゼントします。数年後、その政治家は首相に就任し、ノーマンも首相の「友人」という立場を使って暗躍を繰り広げるようになり……という、ちょっとブラックなコメディー映画です。
ノーマンと首相との間の打算と友情が入り混じった関係性には、不思議なリアリティーがあって人間関係の機微がよく描かれた佳作です。映画をおすすめしたいのは山々ですが、あえてこの映画が示している教訓を言葉にすれば、「損得勘定や自己実現のために相手と仲良くすれば、それがうまくいけばいくほど、その後の負の代償が大きい」ということではないかと思います。