国の失策のツケ…JR北海道「値上げ」に異論噴出 公聴会で反対意見、島田社長「ご理解を」
「北の鉄路存続を求める会」事務局長の小室正範さんも同様に「JR北海道の経営の行き詰まりは経営安定基金の運用益が金利低下によって半減した結果であり、国策破綻のツケを道民やJR北海道だけに強いるのは論外」と指摘。値上げは道民に極めて大きな負担をもたらし、とくに通学定期の値上げ率が平均21.8%に及ぶことから、遠距離通学の高校生とその家庭への影響は重大だと懸念を示した。
また、JR北海道が値上げ申請の一方、北海道新幹線・札幌―新函館北斗間の高速化に120億円の追加工事を行うと表明したことも反対理由に挙げ、「5分短縮にどれだけの価値があるのか、それによって乗客が増えるのかとの疑問や怒りは当然」「効率的経営に程遠い計画の下での運賃値上げ申請を適正と認めることはできない」と述べた。
一方、もう1人の公述人である北海道教育大准教授の武田泉さんは「値上げの必要性は理解できる」としつつ、札幌―新札幌間や札幌―新千歳空港間にあたる距離など「値上げ率に4つの山があり、利用者が多い区間を狙い撃ちしている」と批判。鉄道の公共性を軽視した道民への押し付けであると述べ「いびつな値上げは不当で断固反対」と主張した。また、値上げとともに行う増収策についても、駅ナカ開発などの内容がずさんと指摘した。
「定期割引率は維持」と反論
島田社長は最後の陳述で、それぞれの意見に対して見解を表明。値上げによる道民への負担増については「負担が増えるのは事実」としつつ、「通学定期はほかの交通機関にはない70%を超える大幅な割引率を維持していることについてもご理解いただきたい」。利用の多い区間を狙い撃ちにしたとの指摘については「地下鉄・バスより安価の近距離区間で、同等レベルまでの負担をお願いしているもの」であると反論した。
新幹線の高速化に120億円を投じることについては「運賃値上げによる収支改善40億円と、経営基盤強化のための設備投資資金120億円を同列で議論すべきではない」とし、「高速化のための設備投資資金は国に全額助成か無利子貸し付けとなるようお願いしており、その返済は新幹線札幌開業以降、高速化による増収分から行う予定」であるとして理解を求めた。
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