国の失策のツケ…JR北海道「値上げ」に異論噴出 公聴会で反対意見、島田社長「ご理解を」

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一方、国の責任を問う声については「経営安定基金運用益の減少については国から随時にわたる支援をいただいた。今後も当社だけでは解決できない構造的な課題を関係機関の理解をいただいて解決し、経営自立を果たす」と述べるにとどめた。

生活への影響が大きい、道民だけが負担するのはおかしい……。不満の声が根強い運賃値上げについて、島田社長は公聴会終了後、報道陣の取材に対し「今回の反対意見は一部で、ほかにもたくさん厳しい意見をいただいていると認識している。必要性について理解いただけるよう今後も丁寧な説明を繰り返していきたい」と述べた。

値上げしても課題は山積

国交省が2018年7月に出した「監督命令」は、2031年度の経営自立という目標の達成に向けた「徹底した経営努力」を命じ、2019・2020年度を「第1期集中改革期間」と位置づけて、目に見える成果を挙げるよう求めている。2年間で約400億円の支援が行われるものの、その後の支援については未定だ。今後に向け、JR北海道はこの2年間で経営改善の結果を出すことを迫られている。運賃値上げによる収支改善もその流れの中にある。

「まずは経営努力を徹底的に行って目に見える成果として具体化することが肝要。収支改善までの効果が出るには時間がかかるものが多いので、その間に運営を継続していくためには国の支援と併せて利用者の一部負担についてもご理解いただきたい」。島田社長はこう語る。

ただ、抜本的な経営改善には「単独では維持困難」な線区のうち、鉄道として維持する路線の存続に向けた仕組みの構築や、同社が2031年度以降の稼ぎ頭として据える北海道新幹線のスピードアップに必要な貨物列車との共用走行区間の問題など、自社だけでは解決できない課題も多い。人口減少や修繕費の増加、経営安定基金の運用益減少などによる減益も見込まれる。申請通り運賃値上げが実施されても、経営自立への道のりは長い。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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