盛り上がり欠く参院選、投票率50%割れも 優勢・与党の心配は政権幹部の失言と暴言

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議席予測での野党各党の内訳をみると、第1党の立憲民主は改選議席9を大きく上回るが、国民民主は改選8には届きそうもない。もちろん、系列無所属候補の当選による上積みは想定されるが、それでも両党の前身となる民進党の前回獲得議席32と同程度にとどまり、「競い合いによる勢力拡大」(枝野氏)という期待は外れそうだ。

その一方で、維新は先の大阪ダブル選圧勝の余勢も駆って、改選7維持かそれをやや上回る議席獲得が予測されている。また、野党統一候補のため多くの候補を降ろした共産党も、改選8を確保し、さらに議席の上積みもありうる。与党の公明党も改選11を2~3議席上回ることが確実視されている。「自民党の目減り分を公明、共産、維新などが分け合い、旧民進系は伸び悩む」(選挙アナリスト)予測となっている。

勝敗ラインは前回実績の与党70超え?

そうした中、戦後政治で長らく野党のリーダー役を担った社会党を継承した社民党は、比例で1議席獲得の可能性があり、政党要件喪失は何とか回避されそうだ。また、「永田町のアウトロー」と呼ばれる山本太郎参院議員が立ち上げた「れいわ新選組」は比例での1議席獲得が有力で、今後の展開次第では複数議席もうかがう勢いだ。

国際情勢の流動化や経済不安が際立つ中での今回の有権者の選択は、令和新時代の政治の道筋も決めることになる。自民党が国政選挙6連勝で安倍1強政権を維持するのか、野党勢力の伸長で1強多弱に変化が起きるのかが注目だが、予測どおりなら「何も変わらない」(閣僚経験者)ということになる。もちろん選挙戦はまだ序盤戦で、「投票箱の蓋を開けるまでわからない」(自民幹部)のが選挙の常だ。

今回の選挙結果は、首相の今後の政権運営にも影響を与える。勝敗ラインについて、与党幹部の多くが「与党で改選過半数の63議席」を挙げているが、「低めの数字で予防線を張った」(自民長老)とみられている。政治的にみれば、「現状の安倍1強政権を継続するためには、前回実績の与党70議席を超えるのが条件」(自民幹部)との見方が多い。

各紙の予測をみればその条件をクリアしているが、安倍首相らが陣営の引き締めに躍起となるのも「陣営が緩み、有権者がおごりと受け止めれば、状況が一変する」(自民選対)との危機感からだ。競馬で言えば「第1コーナーで大きくリードした本命馬に『そのまま』と叫ぶ心境」(閣僚経験者)というわけだ。

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