スシロー「近未来店舗」は客の満足度を上げるか 自動皿会計システムや土産ロッカーを導入

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洗浄した皿を自動で仕分けする設備(記者撮影)

こうした細かな積み重ねによって、スシローとしては1店舗当たり総労働時間を2~3割短縮させたい考えだ。次世代店舗を今後どれだけ増やすかについても、「伊丹荒牧店の成果をみて判断していく」(新居氏)とし、改装の投資額も明らかにしなかった。

ただ、伊丹荒牧店に導入した新技術をそのまま広げていくということではなく、人員構成や集客力などによって、今回の仕組みを全面的に導入するか、部分的に導入するかを店舗ごとに判断していくという。

「回転レーンをなくす選択肢はなかった」

目下、回転ずし業界ではあえて回転レーンを廃し、特急レーンのみで商品を提供するフルオーダー店が増えつつある。常に商品を回転レーン上に流す必要がないので食材ロスの削減につながるほか、オーダーを受けた商品のみの提供に専念できることから、従業員の負担軽減にもつながる。

今回の伊丹荒牧店には導入されなかったものの、競合のかっぱ寿司は前2019年3月期末時点で全店舗の10%にあたる33店をフルオーダー店に転換。2022年3月期までに全店の約半数にあたる158店にまでフルオーダー店を増やす目標を掲げる。

くしくも6月18日にスシローとの経営統合を断念した元気寿司も、この数年、フルオーダー店への転換を推進したことで、2019年3月期末時点で国内154店のうち、約8割が“回転しないすし店”となっている。食材ロスを削減したことで、2019年3月期の営業利益は23億円と、この5年で約2.2倍も増加している。

スシローグローバルホールディングスの新居耕平・取締役執行役員は「うまさへの妥協をせず、味の向上を図っていく」と述べた(記者撮影)

スシローは今回の次世代店舗を模索する中で、回転レーンのない店舗展開を検討しなかったのか。この点について新居氏は「スシローは商品を選ぶ楽しさを重要視しており、お客様に喜んでいただけるという点では回転レーンで勝負していきたいと考えてきた。そのような点を踏まえ、(次世代店舗の形を考えるうえで)回転レーンをなくすという選択肢はなかった」と話した。

スシローの伊丹荒牧店の取り組みで、どのような効果が見えてくるのか。その結果によっては、これからの回転ずし業界における店舗のあり方や働き方が大きく変わるかもしれない。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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