シンガポール人が給料の3分の1も貯金する訳 「老後2000万円問題」を嘆く前にやるべきこと
では日本の標準的な年金額はいくらくらいでしょうか。厚生労働省によると、夫が会社員で妻が専業主婦という家庭の場合、65歳からの夫婦2人で標準的な年金額は、月額で22万1504円です。
このパターンは夫が会社員で、平均的な報酬(賞与含む月額換算)が42万8000円で40年間就業したケースです。65歳から90歳まで標準的な年金の総額から平均的な生活費の総額を引いた不足額や予備費を、老後資金として約2000万円を貯める必要があるというわけです。
ただ、「賦課方式」も少子高齢化によって維持が難しくなり、将来の給付額はそのときの経済状況によって左右されます。シンガポール、日本のそれぞれの制度には一長一短があり、制度のリスクなどを理解したうえで不足額は自分で貯めていく必要があるのです。
現役時代の40年間でリタイア後の生活費を貯める
シンガポールの世帯月収の中央値は約70万円と、日本の共働き世帯より高めです。例えば、月収75万円の世帯が、その3分の1を貯金するとしましょう。毎月50万円で暮らし、25万円を貯めていくということです。
この場合、2カ月働けば50万円貯まり、1カ月分の生活費が捻出できることになります。これを続けていけば、40年で20年分の生活費が捻出できる計算です。そうなれば、60歳でリタイアしても80歳までは働くことなしに生活が可能です。
運用によって「お金の寿命」をさらに延ばせるかもしれません。2000万円の元金から毎年100万円を取り崩して生活していく場合、5%複利で運用しながら取り崩していけば、100歳以上までお金が持つ計算です。ただし2%複利なら85歳になる前に底をつきます。
シンガポールでは中央積立基金にお金を入れていても2%以上のリターンは確保でき、運用の選択肢が日本よりも豊かです。これも資産形成に有利に働きますが、なぜこんなにも貯めるかというと、失業保険もないので貯蓄への危機意識が高いのです。
同じように、自国の社会保障が充実していないインド人の友人たちも非常に貯蓄への危機管理がしっかりしていると感じます。日本人も危機意識を貯蓄するモチベーションに変えていきたいですね。
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