「聴覚障害者」にとって通勤電車はこんなに怖い

車内放送聞こえず、何が起きたかわからない

そんな彼女は、いつ頃から鉄道に興味をもったのだろう。

「私がお腹の中にいたとき、母は地下鉄で通勤していたのですが、電車に乗っていると胎動が激しくなったと言いますから、もしかしたらその頃からうれしいと感じていたのかもしれません。3歳の誕生日に新幹線のプラレールを買ってもらって、夢中になりすぎて夜遅くまで遊んでいたのも覚えています。

小さなときから電車の絵は描いていましたが、高校への通学で地下鉄を利用するようになってからは日帰り圏内の乗り鉄をするようになって、鉛筆で『今日の乗り鉄記録』『大好きな銀座線の01系』のマンガ絵日記などを描くようになりました。

鉄道のどこが好きかといえば数え切れないのですが、とくに電車の顔とかドアや窓のデザインとかが好きで、自分のことを“顔テツ”と言っています」

「声を掛けて」と表明するヘルプマークを

では、聴覚障害がある人が安全・快適に鉄道を利用できるようにするためには、鉄道会社はどのような点を改善すべきだろうか。

「現在、音声だけで案内されていることが、目視でも確認できるよう、表示を増やしてほしい。そして、運行の乱れなどの車内放送の内容を、できるだけ早く字幕などでも出してほしい。新しい車両には、次の駅名を表示する電光掲示板や、広告用のモニターがあります。それを利用して、突然停車したときの理由、遅延や運行停止の状況などを文字で表示してほしい。

耳が聞こえる人も聞き逃してしまうことはあるので、こうした表示は頼りになると思います。現在の技術なら、放送中に音声認識して自動的に文字にして表示するようなことも、可能ではないでしょうか」

同乗しているわれわれにできることはないだろうか。

いつでも筆談できるように、バッグにはメッセージボードが欠かせない(筆者撮影)

「周囲の人がどんな人かわからないので、困ったときにも誰に助けを求めたらいいか、勇気を出してアプローチすることができません。私はいつもメッセージボードを持ち歩いているので、筆談をしてくれればコミュニケーションは取れます。

障害のある人が付けるヘルプマーク(東京都が作った、赤い十字とハートのついたマーク。内部障害や難病などの人が援助を求めやすいようにつけている)はありますが、逆に、筆談OKですよとか、手話が少しできますよ、ということを示すマークをつけていてくれるといいなと思います」

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