チョコフレークが森永の「撤退」でも不滅の理由 1位の日清シスコは隆々たる地位を築いている

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1967年日本で初めて販売された「森永チョコフレーク」。当時は箱入りで50円だった(画像提供:森永製菓)

「チョコフレーク」と聞いて、何のことかわからない人は、日本にあまりいないだろう。サクサク食感や、箱から出すときのカサカサ音をリアルに覚えている読者は、昭和生まれに違いない。

この夏、有名な「森永チョコフレーク」が終売となる。1967年生まれのロングセラーが52年の歴史の幕を閉じるのだ。理由は、チョコフレーク生産工場の設備の老朽化だ。千葉県野田市にある森永スナック食品の工場は、移転してチョコフレークを作り続けるかどうかの経営判断があったが、生産拠点の再編成に伴い閉鎖が決まった。

森永チョコフレーク終売のニュースは、2018年秋に日本をかけめぐった。「人気商品でしたので、多くの惜しむお声をいただいています。しかし新商品を開発し続ける中、時代の流れの中でなくなる商品があり、チョコフレークはそのひとつです」。森永製菓広報は説明する。

終売理由を「スマートフォンの普及で手が汚れるお菓子が敬遠された」と多くのメディアが伝えたが、それだけではない。例えば「今は冷蔵で販売されるシュークリームやカップデザートなどの『チルド商品』が増え、スナック菓子の競合になりました」(森永製菓広報)。コンビニもスマホもなかった52年前と、お菓子をめぐる環境は大きく変わったのだ。

日清の「チョコフレーク」は好調

しかし。実はチョコフレークが日本からなくなるわけではない。チョコフレークを作っている会社は、森永以外にもある。

日清シスコ「チョコフレーク」(画像提供:日清シスコ)

そもそも「チョコフレークって全部森永じゃなかったの?」と、今、思った読者もいるかもしれないが「チョコフレーク」は、日清シスコのロングセラーだ。発売は1968年で、森永の発売の翌年にあたる。

「実は2018年時点ですでにチョコフレークカテゴリーの75%のシェアを日清シスコが占めていましたので、もしかすると森永さんの商品だと思い込んで、当社のチョコフレークを召し上がっていた人もいるかもしれません」。そう話すのは、日清シスコマーケティング部の風野亜希子さん。

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