「介護も妻に」と願う定年夫を自立させるには?

ホンネは「私にあまり寄りかからないでね」

多くの夫婦の場合、子どもが独立しても、妻は夫といると何となく世話を焼くことになってしまい、リラックスしきれないところがあります。ですから、たまに「ひとりの女性」に戻って、好きな服や絵を夕食の時間を気にせず見て回ったり、年齢も立場も忘れて学生時代や趣味の仲間とおしゃべりしたりする時間が、リフレッシュとしてとても大切なのです。そうやって遊んでいる間は、妻としての役割を放棄しているのではないかという罪悪感も手伝って、そういうイベントの後はいつもより夫にも優しく接することできる、という声はよく聞きます。

つまり、夫婦はつねにベッタリと一緒にいるのではなく、それぞれが独立して気の合う仲間と過ごす時間、そしてひとりで自分のペースで過ごす時間という3種類あるのがベストだと私は思います。

妻がひとりで出かけるたびに「夕飯どうなる」と思う夫

妻がひとりの女性に戻り、自分の時間を過ごすということを実現するには、夫が一定の家事をこなせること、その結果、数日または1週間ぐらい夫ひとりでも暮らせるということが前提条件となります。妻がひとりで出かけるたびに、自分がいない間の食事を全部用意して、ゴミ出しの準備をして、などとやっていたら大変です。

ご主人が外食も出来合いのお惣菜でも一向にかまわないというのであれば、分別・回収ルールに沿ったゴミ出しぐらいやってもらえればいいでしょう。でも、外食も既成の惣菜も食べたくない、というのであれば、妻は自分が出かけるときぐらい夫に自炊してもらいたいと思って当然です。

わが家の夫は、家で原稿を書く仕事の時間が長いため、気分転換も兼ねて料理を作ります。当初は「拍子切り」とか、ちょっとした用語がわからず苦労していたようですが、ネット検索すれば画像解説や動画レシピも多いので、しだいに上達してきました。最近ではこちらが教えてもらいたいような料理さえできるようになりつつあります。

世間では「夫が料理や家事をすると無駄なものを買ってきたり、後始末が大変だから、かえって何もしないでいてくれるほうがまし」という声も聞きます。でも無駄な調味料や料理器具が一時的に増えたとしてもいいではないですか。そんなことは些細なことで、それよりも暮らしの中での会話、共通の話題が増えれば安上がりで心豊かになれます。

さらに、親の介護や自分自身の入院で家を空ける必要が出てきたとき、夫に安心して家事を任せられることは、将来への備えとしても必要だと思います。イクメンが当たり前の30代・40代の世代と違い、50代・60代の男性は自立して暮らすための必要なスキルを身に付ける機会がありませんでした。ぜひ、暮らしの現場を少し明け渡し、育てていくつもりで温かく見守ってみてはいかがでしょうか。

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