西武が乗り出す「とんがり」新事業は成功するか 鉄道、ホテル、不動産に次ぐ第4の柱になる?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらのアイデアに関しては、「今後、グループ内事業会社とともに、実現可否を含めた検討を重ね、サービスインできるものから順にサービスインしていきたい。今後もテーマを変え、年に1度はアイデアを募集していく予定だ」(田中氏)という。

なお、事業化にあたって、発案者がそのまま事業を行うのか、新規事業体をつくるのか、西武グループにアイデアを譲渡するのかは自由であり、ケースバイケースで対応する。

西武ラボが行っているのは、こうした直接的な事業創造の取り組みだけではない。2018年7月には、2つのVC(ベンチャー・キャピタル)に対して各5億円ずつ、総額10億円を出資した。出資したVCは、IoTやAIなどのテックスタートアップ支援に特化した「アーキタイプベンチャーズ」と、環境分野に特化した「環境エネルギー投資」の2社だ。

田中氏は、「今回の出資はキャピタルゲインが主目的ではなく、新規事業を起こしていくための事業シナジー創出を主な目的としている。最先端の技術情報収集にはVCを通じたベンチャーとのつながりが重要と判断した。また、環境分野に関しては、西武は他の鉄道グループと比べ、電力を24時間大量に使うホテル・レジャー領域が大きい。今後、ベンチャーの知見を活用し、環境負荷の少ない事業運営の実現に向けた検討を進めたい」と語る。

事業展開がスピーディーに

こうした情報収集はグループ内の各事業会社も行っているが、一般的にベンチャー企業にとって大手企業といきなり交渉するのはハードルが高い。おのずと西武グループ各社の主な交渉相手は大手ベンダーになることが多かった。

しかし、西武ラボができたことで、ベンチャーも情報提供や交渉がしやすくなった。一方で西武グループにとっても、スピーディーかつ低コストなベンチャーのサービスを検討できるようになったメリットがある。

また、ベンチャーに限らず、「今までどこの部署に情報を持っていけばいいかわからないと悩んでいた金融機関が、取引先の事業情報を西武ラボに持ち込んでくださるケースも増えた。さらに、所沢から池袋に移転したことで、皆様が立ち寄ってくださる機会が増え、コミュニケーションも密になった」(田中氏)という。

西武ラボは発足して2年ということで、具体的な成果はまだ少ない。では、今後に向けては、どのようなビジョンを持っているのか。

「基本的には豊富なアセットや、堅実なオペレーション実績といった西武グループの強みが生かせる領域で新規事業を創りだすことを担っていく」(田中氏)とする。

次ページヘリコプター関連に進出?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事