過去のにぎわいが懐かしい「残念な幹線」10選 昔は優等列車が往来し貨物輸送が盛んだった

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2)美祢線(山口県)

かつては石灰石輸送が盛んで、1日に30往復以上の貨物列車が走った時期もあった。それゆえ「幹線」に分類されていた。しかし、宇部興産が専用道路を造り、トラック輸送に切り替えたこともあって、貨物列車は全廃となった。

旅客列車も、一時期は山陰本線と九州を直通する急行列車が美祢線を経由し、グリーン車も連結されていて、「幹線」の名に恥じないものであった。ところが、現在では、すべて普通列車で、1両のみ(時に2両)のディーゼルカーが、昼間は2~3時間に1本走るのみの閑散とした路線になってしまった。

近くに特急列車や「SLやまぐち号」が走り、美祢線よりはにぎわっている山口線があるが、こちらは地方交通線だ。比較すればするほど美祢線の凋落ぶりが目立ち、残念と言わざるをえない。

3)宇部線(山口県)

美祢線から山陽本線経由で直通する貨物列車が宇部港まで走り、美祢線同様、1970年代には、1日に30往復以上の貨物列車が発着することもあった。貨物輸送が盛況だったので「幹線」の仲間入りをしていたのは、美祢線と同じである。

宇部線の電車(宇部新川付近にて、筆者撮影)

中間駅の宇部新川駅は、一時、宇部駅を名乗っていたように、宇部市の中心に位置する。しかし、道路状況がよいこともあって、バスやマイカーが主流で、電化区間にもかかわらず、昼間は閑散とした状態で、クモハ123による単行運転も見られる。

居能駅で接続する小野田線(こちらは地方交通線)とともにBRT(バス高速輸送システム)化の構想も出ていて、地元では利用する人が多くない残念な路線である。

「偉大なるローカル線」

4)山陰本線の益田―幡生間(島根県・山口県)

山陰本線は京都から下関の手前の幡生(はたぶ)まで延々673.8kmもの日本一の長大な路線である。山陽本線に比べるとのどかで地方色豊かなことから「偉大なるローカル線」と揶揄されることもある。それでも本線の名に恥じることなく、京都駅から益田駅までは、何らかの形で特急列車が走っている。

しかし、益田―幡生間は、かつては特急列車が走った歴史はあるものの、現状では観光列車をのぞき、普通列車が走るのみだ。とくに益田駅と長門市駅間が悲惨な状況で、人気の観光地萩を経由するにもかかわらず、4時間ほど列車が走らない時間帯もある。

長門市駅でつながっている美祢線と相通じるものがあり、本線らしく長いホームに小ぶりなディーゼルカーが1~2両で停車するのを目にするとわびしくなってくる。豪華列車「瑞風」が通過するのが、せめてもの救いだろうか。

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