対米投資に人口増とシェールガス革命の恩恵 日本企業の海外戦略変化も

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エネルギーコストの低下を見越し、米企業の一部が生産拠点を米国に回帰させている。日本企業でも、たとえば荏原<6361.T>では「シェールガスに関連する受注の増加が今期100億円見込める」(広報室)との見方を示す。石油プラント建設向けのコンプレッサーの受注増が生まれるという。

新日鉄住金<5401.T>は昨年11月、自動車の鋼板製造を拡充するため、アルセロールミタルと共同で独ティッセンクルップのメッキ製品工場(米アラバマ州)を1550億円で取得すると決めるなど、製造拠点の拡充をする日本企業も増えている。

ベトナムやインドなど、新興市場に生産拠点を構える日本企業の動きが止まったわけではない。最近では生産設備の投資を日本国内に戻す動きもある。米国市場の魅力の高まりで、日本企業の海外展開は一段と選択肢が拡大するとも言える。

対米国企業のM&Aは底堅く推移している。ある投資銀行のアドバイザリー担当者は「新興国は成長の幅は大きいがマーケットの規模がまだ小さい」と指摘。そのうえで「本気で経営の国際化を目指し、米企業を手中に収めようとする日本企業はソフトバンク<9984.T>だけではない」と話し、パイプラインに米企業の大型M&Aを検討する企業がまだあることをにじませる。

トムソン・ロイターによると、日本企業による対米M&Aは2012年1─12月期に4.3兆円(167件)と海外M&Aの約6割を占めた。13年1─12月期は1.3兆円(117件)と約3割にとどまったが、底堅いニーズがあるのは明白だ。

シティグループ証券の藤田氏は、米国の財政、経済の健全性は長いタームで向上する可能性が高いなど、マクロ面でも好循環が生まれるとしたうえで、「シェールガス革命によるエネルギー価格の低下で雇用回復やインフレ率の低下もあり、米国経済に対する魅力が増す原動力にもなっている」と総括している。

(江本恵美、編集:北松克朗)

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