「特例子会社」は障害者雇用に風穴を開けるか 神戸から羽ばたく、食品卸トーホーの願い

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仕事量の確保が課題

足下の問題は、いかに仕事量を確保するか。クリーン業務や印刷業務など、グループ各社から業務を切り出して仕事を作っているが、「業務量が全然、足りていない」と、トーホーウイングの社長に就任した小田隆氏は悩みを打ち明ける。

特例子会社だからといって、採算度外視で業務を受注していてはいつまで経っても独り立ちできない。逆に、高単価で受注すれば、発注先のグループ企業の業績を圧迫し、いずれはほかの外注先に仕事を奪われる。

特に発足当初は従業員の習熟度も低いことから、できる仕事自体が限られる。当面はグループ各社で外注に出している仕事を難易度や緊急性、重要度などに切り分けた後、できる仕事を引き受けていく方針だが、障害者就労支援団体と連携しつつ、技術を向上させ、業務の枠を少しずつ広げていく。「業務探しに奔走しなければ」と小田氏は気を引き締める。

事業が軌道化すれば、高齢者の継続雇用やメンタルヘルスの復職支援などの役割を果たすことも視野に入れている。毎年、業容拡大に合わせ2~3人をコンスタントに採用しつつ、5年後には単独での黒字化を果たす目標だ。

社名にある「ウイング」には、障害者と手を取り合って、将来に向けて羽ばたいていきたいとの願いが込められている。名前に込めた思いとともに、トーホーウイングは上昇気流に乗ることができるか。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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