トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占
自動車メーカーとの水平分業型戦略を採用したCATLに対し、LIB世界3位のBYDは、自社ブランドのNEVにセルを供給する垂直統合型戦略を採用した。セルから電池バック、BMS、車両を内製することにより、低コスト生産を実現した。2019年、BYDはLIB事業を独立させ、生産能力(60ギガワット時)の引き上げや他社向けの販売など、LIB事業のさらなる拡大を企図している。
中国政府は2019年のNEV補助金額を前年比で大きく減額した。航続距離の長い電池を搭載すれば、多額なNEV補助金を獲得できるため、NEVメーカーの電池調達先は大手電池メーカーに集中する傾向だ。2019年1~5月の中国LIB市場シェアを見ると、1位のCATLと2位のBYDの合算シェアは75%、業界の寡占化が進んでいることがわかる。
24時間稼働でも受注に対応しきれず
現在、CATLは生産ラインが24時間稼動しているにもかかわらず、受注に対応しきれない状況だ。筆者は51歳の曽毓群(ロビン・ツォン)会長とは数回雑談する機会があったがこれまでの成長を自慢することなく、政府補助金がなくなれば真っ正面から有力外資メーカーに向き合わざるをえなくなる危機感をもちながらも、技術力のさらなる向上を強調した。
この数年でLIB産業は製造技術の進歩に伴い、液晶パネルと同様に巨大な設備投資を求める装置産業となっている。豊富な資金を持つ中国企業が政府の支援を受け、生産能力を急拡大し、技術優位にあった日韓企業を凌駕する勢いをみせた。
現在中国には、質と量の両面を追おうとするLIBメーカーが多く、技術力が高いメーカーが限られている。今回発表されたトヨタの中国2社協業は、中国大手電池メーカーにとって、ドイツ勢に続き日本自動車ビッグスリーへの供給を果たし、グローバル競争に向けて大きな一歩を踏み出したといえよう。
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