「紙おむつ原料」でついに経営統合が起きたわけ 日本触媒と三洋化成が2年後をメドに合併
一方、昨年7月に能力10万トンのベルギー工場を立ち上げた日本触媒は2018年度、SAPを含む「機能性化学品」部門が10%増収、4%増益となった。
両社の違いは、SAPの原料アクリル酸を外部に頼る三洋化成に対して、日本触媒はアクリル酸でも世界トップ級のメーカーであること。三洋化成にすれば、日本触媒との統合はアクリル酸の調達不安を解消し、SAP事業を安定させる効果がある。
また、現在、インドネシアでアクリル酸10万トンの新プラントを建設中の日本触媒は、三洋化成と統合すれば、インドネシアの立ち上げがスムーズに行く。ここに両社の利害が一致した。
世界シェア3割のダントツ企業が誕生
ちなみに、三洋化成は世界で初めてSAPの工業化に成功したパイオニアであり、日本触媒はプロピレンを直接酸化してアクリル酸を作る技術を世界で初めて開発した。今回、SAPとアクリル酸、それぞれのパイオニア同士が一緒になることになる。
両社のSAP能力の合計は110万トン強。世界需要が305万トンだから、世界シェア3割強のダントツ企業となる。成長市場ゆえに猛烈な攻勢を掛けてくる中国・韓国のチャレンジャーたちに対して、技術・生産力の両面で強大な防壁を築くことになるだろう。
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