警戒される「株高・円安」の逆回転 円安基調継続でも調整余地
[東京 14日 ロイター] -予想外に弱い結果となった米雇用統計で円相場は冷や水を浴びせられたが、市場では、基調としての円安が継続するとの見方が依然多数派だ。
しかし、6年半ぶりの高水準に積み上がっている投機的円売りポジションが部分的に解消されるだけでも、1ドル=100円程度まで下押しする余地があるとの見方も出ている。
米景気を検証するフェーズに
前週末の12月米雇用統計を受け、ドル/円相場は発表直前の高値105.42円から13日の安値102.85円まで2.5円以上急落した。
市場では「株高/円安相場が冷や水を浴びせられた。基調に変化はないとはいえ、さすがにすぐに気を取り直して105円、106円を目指すのは無理だろう」(機関投資家)とされ、市場は米景気動向について「落ち着いて検証するフェーズ」(同)に入ったという。
それでもなお、基調はドル高/円安との見方が東京市場では大勢だ。先進国において金融緩和縮小に動き始めたのは唯一米国のみで米国経済の回復基調がしっかりしているとの認識と期待が背景にある。
「海外勢、本邦勢とも、10月下旬からの一本調子のドル高/円安の流れの中で、買う機会を逸した参加者は多い。下がったら買いたいという意欲がドルの下値を支えるだろう」(邦銀)という。
「雇用統計後はパニック的なドル売りが入ったが、非農業部門雇用者数の10月分、11月分と大幅に上方修正されており、12月分も今後上方修正される公算が大きい。100円までの調整はないと思っている」とFXプライム取締役の上田真理人氏は言う。
12月の米雇用統計では、NFPが7万4000人増と、約3年ぶりの低い伸びとなったが、11月の非農業部門雇用者数は3万8000人上方修正され10月分も上方修正された。
シティバンク銀行、個人金融部門・シニアFXマーケットアナリストの尾河真樹氏は「今回の米雇用統計の結果でも、米連邦準備理事会(FRB)の政策は何も変わらないとみている。1回だけの統計では何とも言えないということもあるが、ほぼ天候要因で説明できる内容だった」と指摘。基本的に緩やかなドル高/円安という方向性に変わりはないとの見方を示している。