「炎上CM」を広告業界がやめられない明快な理由

「怒り」を表明する女性がなぜ増えているのか

なぜ炎上広告は繰り返されるのか。そして、広告を発信する側が目指すべき姿とは?(写真:AntonioGuillem/iStock)

「私作る人、ボク食べる人」という表現を知ったのは何歳の頃だったろう。1975年に放送された「ハウスシャンメンしょうゆ味」の商品CMで使われたコピーで、「女性差別」だと問題になったことは有名な話だ。

「男女の役割分担を固定化する」と抗議されたハウス食品は、最初「正直びっくりしている」と戸惑ったようだが、その後、CMの放映中止を決めたという。もっとも、当時の主婦からは「あのままでいい」という反応が多く、メディアの報道も抗議した側に対して冷ややかで、からかい、中傷するような記事も出まわったらしい。

私も、その話を聞いた当初は「ひどい表現だ」というより「へええ。それって差別なんだ」という驚きのほうが強かった記憶がある。

しかしそうした驚きや反発は、やがて学びとなり、広告表現が社会に与える影響について考えるきっかけになったのではないか。CM上では男性がキッチンに立ったり洗濯をしたりする表現も徐々に増え、44年後の現在、実世界でもそれが違和感のない光景になっている。

平成時代に加速した「ジェンダー差別」

とはいえ、昭和と平成という2つの時代を越えた現在も、相変わらず「ジェンダー差別」を指摘される表現は後を絶たない。いや、インターネットが普及したことで、むしろ加速している。

以前なら広告主の元にクレームの電話が寄せられ、そこでひっそりと処理されていたかもしれない案件も、SNS上で誰でも思ったときに声を上げ、それを見られるようになった。また、広告の送り手側の事情でいうと、WEB広告は予算も小額なことから、経験の少ない若手クリエーターが制作し、チェックも甘いまま公開されるケースも多い。さまざまな背景が、炎上広告の増えた原因として語られている。

加えて、ここ数年は、ぐんぐんと「ジェンダー偏差値」の高い人々が増えているようにも思う。「#MeToo運動」が海外で盛り上がり、東京医科大学の不正入試問題が発覚し、性的暴行事件の容疑者が不起訴になったというニュースが次々と流れてくるこの時代、女性たちの怒りも高まっている。

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