《若手記者・スタンフォード留学記 23》アメリカで分かった中国人とのつきあい方
さらに、歴史問題についても、韓国人の友人に比べ、中国人の友人の方がさっぱりしています。結構、冷静に歴史について語り合えるのです。そして、日本に対して、強い嫌悪感を抱いている若者にはあまり出会いません。
一人の友人が、「僕は日本に教育されたようなものだよ」というので、どんな意味かと思ったら、曰く「小さい頃は、『ドラえもん』や『鉄腕アトム』や『一休さん』を見て育って、大きくなってからは、日本のアダルドビデオにお世話になった」とのこと。
ことほど左様に、私の限られた交際範囲でも、日本で報じられがちな中国人像とは異なる若者にむしろ多く出会います。「中国が嫌いだから、中国人も嫌い」という単純な発想はせずに、いろんな中国人と接してみると、意外な発見があります。
「空気を読まない」のが中国人の良さ
これから、国家という単位では、日本と中国は、政治・経済・軍事などあらゆる面でライバルとなることは必至です。友好関係というより、アジアの覇権を巡り争う競争相手となるケースの方が多いはずです。
その意味で、「さらに日中間の経済依存や人的交流を進めていけば、日本と中国はお互いきっとわかりあえる。最終的には、一緒にアジア共同体を作っていこう」といった一部の理想主義的な意見に私は否定的です。
しかしながら、国家としての“中国”とはあまり仲良くできなくても、優秀な“中国人”とは仲良くする努力はすべきでしょう。具体的には、中国でくすぶっている、野心と能力のある人間を日本に惹きつけるため、日本で成功するチャンスを与えるのです。
ここ数年、日本で移民の議論が出ていますが、日本経済が旬を過ぎている以上、世界中から、数合わせ的に移民を受け入れると、質の低い労働者を多数受け入れる羽目に陥る可能性大です。かといって、人口減少を黙ってただ見過ごすこともできません。
となると、少子化対策、女性の労働参加率アップと合わせて、人口対策の核となるのは、やはり優秀な中国人を日本に呼び寄せることでしょう。それは、単なる労働者の“数”のアップだけでなく、日本の経済界・学界・言論界の“質”の向上にもつながるはずです。
なぜなら、中国人は日本人にはない、いくつかの特徴を持っているからです。
第一に、個人主義的というか、空気を読まない。
以前、大手電気メーカーの社員の方と飲んだとき、こんな話を聞きました。
「一緒に働いていても、中国人はチームワークを乱す人が多い。日本人なら、最初常識がないなと思った新入社員でも、一定期間鍛えれば、組織の一員としてきちんと振舞えるようになる。でも、中国人の場合、いくら教え込んでも、いつまでも空気を読めない」
確かに、中国人なら、「上司が働いているから仕事がなくても残業する」ということはまずなさそうです。ちょうど先日、日本と韓国に詳しい中国人の友人がこう言っていました。
「日本人と韓国人に関して、不思議に思うのは、あの労働時間の長さ。中国では、社長がテレビに出ると、いかに自分は働かずに、うまく仕事を部下に任せているかを自慢している。日本人のハードワークには感心するけど、本当に集中して働いているのかは疑問」
この点は、本当に彼のおっしゃる通りで、長時間労働というのが、日本の最大の欠点の一つだと思います。その点、もし職場にKYな中国人が何人かいて、残業せずにそそくさと帰っていけば、ほかの日本人も早く帰りやすくなるんではないでしょうか。
宋文洲さんがあと100人必要
第2に、率直で、物怖じしない。