フィエスタはアメ車のイメージを変えるか 7年ぶり、フォードが日本市場に小型車を投入

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大型のリアスポイラーなど、デザイン面でスポーティさを重視

「(欧米でも、日本でも)各社が特に個性の強い車を出しているのが、コンパクトカーのセグメント」(森田社長)。それだけに、デザイン性にもこだわっている。

切れ長のヘッドライトなど、フォードの掲げる「キネティック(躍動的な)・デザイン」を前面に出す。さらに、日本仕様には専用のボディキットや大型のリアスポイラーを採用することで、よりスポーティさを重視した外観としている。

「日本をあきらめたわけではない」

販売台数で世界5位グループに位置するフォードだが、日本での存在感は薄い。日本自動車輸入組合によると、2013年のフォード車の輸入販売台数は4189。4年連続で前年を上回っているものの、輸入車トップのVW(6万7282台)、2位のメルセデス・ベンツ(5万3731台)、3位のBMW(4万6037台)と比べると、ずいぶん見劣りする。

新たにフィエスタを投入したところで、いきなりこの差を詰めることは難しい。ただ、「年間500万台の日本市場を捨て置くことはできない。フォードは日本をあきらめているわけではない」(森田社長)。1月下旬からは、日本においては約10年ぶりとなるテレビCMを投下する。昨年から新たに4つの販社契約を結ぶなど、販売網の拡充にも着手している。

日本におけるフォードの大きな課題はブランド力だ。欧州系メーカーと異なり、どうしても「フォード=アメリカ車=デカい車」というイメージが強い。ラインナップを拡充することで、こうしたイメージの刷新を図る構えだ。

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今年後半に投入予定のSUV

フォードはフィエスタに加え、今年後半には得意のSUVでも環境技術を高めた新型車を日本に投入する予定だ。

これでフォードの日本での展開は8車種となり、「ラインナップが完成する」(森田社長)。広告、販売戦略でも、今まで以上に攻勢をかけていくと見られる。

両車種とも販売目標は月間100台前後。やはりVWなど競合メーカーと比べると小粒感は否めないが、仮にこの目標を達成すれば、フォードの年間販売台数は5000を超え、リーマンショック前の水準を回復することになる。再成長に向けた一歩とすることが出来るか。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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