寂れた「空き家地帯」を激減させた大阪人の意地 300m四方に飲食店など31店が出店

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飲食店メインのイベントだけでなく、気軽に茶道体験、美文字講座、親子でフラワーアレンジメントなど町の人たちを対象にしたものもあり、子ども食堂も開かれた。

ただ、がもよんの子ども食堂はほかとは違い、食事を振る舞うのではなく、飲食店店主が先生となって食事の作り方を教えるもの。それで飲食業、とくに地元の店に関心を持ってくれる子どもがいれば、かけた労力はいずれ飲食店に帰ってくる。そもそも、子どもたちは料理を教えてくれた先生の店に行きたがるだろう。ほかとは少し違うやり方も理由を聞けば納得。がもよんでのあれこれは本当によく考えられているのである。

ノウハウを広めて町を変えたい

さらに2018年には飲食だけで終わらない町にしようと空き家をリノベーションしたゲストハウスを手がけ、ぶっ飛んだ内装が話題になった。また、2019年5月には空き地を利用した貸農園がオープン予定と、がもよんの変化はまだまだ続いている。

2棟並んだゲストハウスは露天風呂風の浴室、真っ赤な寝室など一度見たら忘れられないインテリアが話題になった(筆者撮影)

そして今、和田氏はこうしたノウハウを広く伝えたいと考えている。

「最初からすべてを計算して始めたわけではなく、ほかに学んだのでもなく、やりながら編み出してきたので10余年かかりましたが、あと10年、15年やっても再生できる空き家は100軒ほど。それ以上を再生させるためには、このノウハウを広め、5年ほどで町を変えられるようにしないとと思っています」。

「がもよんモデル」を日本全国に、というわけである。地域のお荷物である空き家を使い、地域や所有者に感謝される存在に変える。意義があり、かつきちんと収益も上がる。空き家にテナントを入れた際の仲介手数料、耐震改修・内装の工事代金に加え、建物所有者からは管理費も入るので、不動産仲介だけ、工事だけというやり方より効率がいいのである。

もちろん、その分、やるべき仕事は幅広く、言われたことだけをやればよしという人には向かないが、自分で考えて仕事を作り出していける人なら楽しいはずだ。

と思う一方で、そうそう簡単にはいかないだろうとも思う。「がもよんモデル」の原点は人間の心の動き、人情の機微を知り、それに寄り添うことである。よほど人が好きでなければ難しい話で、技術やノウハウとして伝えられるだろうかと懸念する。

だが、日本全国で増え続ける空き家を考えると、ここはひとつ、意欲のある若い人たちに和田氏に倣って取り組んでいただきたいものである。

中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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