ロンドンで話題、変てこ「環境デモ隊」の正体 「絶滅への反逆」活動家が求めているもの

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警察は排除命令に従わない活動家をいかに追い出すかに頭を悩ませた。ほかの国だったらすでに放水や催涙ガスが飛んで来たり、あるいは盾を持つ警官隊と衝突したりもしているかもしれないが、ここではそんな暴力沙汰とは無縁だ。

筆者は活動開始から4日目となった4月18日、絶滅への反逆運動の本丸とも言えるオックスフォード・サーカスの交差点に足を運んだ。

5カ所を活動拠点として公表していた

この場所は、ブレグジット後の首相候補の1人とも目されているボリス・ジョンソン前外相がロンドン市長だった折、「渋谷式スクランブル交差点」を作るとブチ上げたところだ。確かに市内では珍しい斜め横断ができる横断歩道も描かれている。

ここへは、活動家らがピンク色に塗ったヨットを持ち込み、そこの周りにデモ参加者が横たわる、という格好で抗議活動を続けた。活動開始の15日からしばらくは警官隊が周りを取り囲んで様子見を続けるだけだったが、20日午後になってついに排除活動を実施。道路も一般の車が走れるようになった。

「絶滅への反逆」活動の本丸とされたオックスフォード・サーカス。デモ隊が持ち込んだピンクのヨットは今回の運動の象徴の1つだ(筆者撮影)

絶滅への反逆運動の呼びかけ側は、このオックスフォード・サーカスのほか、マーブルアーチ、ウォータールー橋、国会前広場、そしてピカデリー・サーカスの5カ所を活動拠点として公表、一般市民の参加を待つ構えを見せていたが、うちピカデリー・サーカスは活動家らが集まる前に警官隊により排除されたもようだ。

もっとも一時は、「地下鉄を占拠しよう」あるいは「ヒースロー空港を標的に」との呼びかけも聞こえてきたが、21日現在では未遂に終わっている。ただ、一度デモ参加者を追い出してもいつしかまた活動家が集まってくる、という状況の繰り返しで、しばらくはこの膠着状態が続く、と思われ、いつどんな問題が勃発するか依然として予断を許さない。

今回のデモ騒ぎで交通の要衝が遮断されたことにより、50以上のバス路線が運休、打ち切り、迂回などの対応に迫られ、1日当たり50万人以上に影響が出たとされる。また、迂回による渋滞で、車による市内の移動は普段より面倒なものとなっている。

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